マラソンの食事学

【管理栄養士監修】大会1週間前からのマラソンランナーの食事方法

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大会一週間前のマラソン選手の食事方法

こんにちは。スポーツ栄養士の盛岡です。

マラソンの大会が近づくにつれて、練習メニューは少しずつ調整していくと思いますが、食事については気をつけていますでしょうか?

事前の食事のせいで体調を崩してしまったりすると、当日にいつも通りの走りができず悔しい思いをするなんてことになりかねません。せっかく何時間もかけて練習してきたのですから、レース本番には万全のコンディションで臨みたいですね。

そこで今回はコンディショニングのための、大会1週間前からのマラソンランナーの食事管理についてご説明いたします。

マラソン大会1週間前の食事のポイント

食べ慣れた食品でバランスよく

レースが近づくにつれて食事内容は徐々に炭水化物中心に切り換えていきますが、1週間前の段階では特別な食事内容にする必要はございません。このタイミングでの食事の役割は疲労を回復させ、万全のコンディションでレースに備えることです。まずは食べ慣れた普段通りの食品から栄養をとるようにしましょう。

その上で、体調を整えるためにビタミン・ミネラル・食物繊維をしっかりとれるよう、野菜や果物などのそろった、バランスのよい食事を心がけて下さい。

食あたりに注意

注意点として、食あたりになる可能性のある生もの(刺身など)や時間の経ったお惣菜バイキングやビュッフェでの食事は念のため避けるとよいでしょう。気にしすぎなくてもいいですが、野菜もできれば生野菜よりは火を通した炒め物・煮物にした方がベターです。

大会一週間前の食事(実施すべき食事と注意すべき食事)

詳しくはアスリートの試合一週間前の食事方法もご参照下さい。

体調管理にしっかり摂りたい栄養素

疲労回復に役立つ栄養素

トレーニングの疲労の回復には、たんぱく質・炭水化物(糖質)・ビタミンB1が役立ちます。たんぱく質はトレーニングによる筋肉の損傷を修復させ、糖質はエネルギーの貯蔵庫であるグリコーゲンを回復させ、そしてビタミンB1はその糖質の代謝を助ける働きがございます。

たんぱく質は肉や魚・卵・大豆・乳製品に良質なものが多く含まれており、糖質はごはんやパン・麺類に多く含まれています。いつも以上に多く食べる必要はないですが、朝・昼・晩の毎食欠かさずとるように意識しましょう。

ビタミンB1は様々な食品に含まれていますが、特に豚肉・玄米・うなぎ・たらこに豊富で、一度に食べる量も多いのでたくさん摂取するすることができます。

免疫力アップに役立つ栄養素

直前になって風邪をひいたりしないように、免疫力アップに役立ち、かつ不足しがちな栄養素であるビタミンAビタミンCを積極的にとりましょう。

ビタミンAはにんじんやほうれん草、トマトなどの緑黄色野菜に多く含まれています。またビタミンCはブロッコリーやピーマンなどの野菜、みかんやイチゴ・キウイなどの果物に多く含まれています。ビタミンCは水溶性ビタミンですぐに尿として流れ出てしまいますので、毎日コンスタントにとることが大切です。

大会1週間前の食事メニューの選び方

朝食のポイント

スタート時刻に合わせて、食事のリズムもこのときから整えるよう意識して下さい。8時スタートのフルマラソンの場合ですと、その時刻から逆算して3時間前の5時までに朝食を済ませるようにしましょう。

ウインナーのソテー

ウインナーのソテーは疲労回復によいビタミンB1が豊富なので朝食のおかずにおすすめです。

昼食のポイント

お弁当の場合には前日のおかずの残りが入っている場合も多いかと思いますが、2日も3日も前のおかずは痛んでいないかよく注意する必要があります。外食をとる際にも、バイキング形式のお店や生ものを扱ったメニューは避けて食あたりに注意して下さい。

また、コンビニでお弁当を買う際には、野菜のお惣菜やビタミンもとれる野菜ジュース・果汁100%のフルーツジュースもプラスするよう心がけましょう。野菜ジュースにはビタミンCが少なかったり、フルーツジュースにはビタミンAが少なかったりするのですが、「ビタミン野菜」や「1日分の野菜」にはどちらも豊富に含まれているのでコンディショニングにおすすめです。

「ビタミン野菜」と「1日分の野菜」

夕食のポイント

夕食のときも衛生面に注意しつつ、バランスのよい食事をとるようにして下さい。

なお注意点として、お酒に含まれるアルコールはビタミンB1を多く消費し、疲労の回復を遅らせてしまいます(詳しくは「アスリートのお酒との付き合い方」をご参照下さい)。練習量を抑えているだけにカロリーオーバーにもなりやすいため、走った後のお酒が好きな方も、この期間だけは控えめにすることをおすすめします。

まとめ

  • マラソン大会1週間前は特別な食事をとる必要はなく、まずは食べ慣れたものを食べるようにする
  • 食あたりには注意して、生ものや時間の経ったお惣菜は避ける
  • 疲労回復のため、炭水化物・炭水化物・ビタミンB1を含む食品をとる
  • 風邪などの予防のため、ビタミン・ミネラル(特に、ビタミンAとビタミンC)をしっかりとる

参考文献

加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀 編:「スポーツ・運動栄養学」.講談社,2012.
田口素子・樋口満 編:「体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学」.市村出版,2014.
文部科学省:食品成分データベースhttp://fooddb.mext.go.jp/

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