こんにちは!
スポーツをしている子供には「タンパク質をしっかり摂らせることが大事!」とは分かっていても、実際、我が子にはどのくらい摂らせていいのか分からない方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、実際どのくらいのタンパク質の摂取が必要なのかと、タンパク質を豊富に含む食事メニューご紹介したいと思います。
明日からのお子様の食事にご活用いただけたら幸いです。
目次
個人に合わせたタンパク質を摂りましょう
特にアスリートのタンパク質摂取においては、通常の生活をしている子に比べ、1.5~2倍のタンパク質が必要といわれています。
とはいえ、タンパク質を必要以上に摂ることは体への負担が大きくなる可能性もあるので、その子に合わせた量を摂取することが大切です。
ジュニアアスリートにスポットを当てたタンパク質摂取のガイドラインはないため、子供の体重・身長の変化や運動量を考慮し、食事量を調整しましょう。
また、タンパク質は体に貯めておくことが出来ないので、1食にまとめて摂るのではなく、毎食摂る・間食で摂るなど、こまめに摂取することが望ましいです。
ジュニアアスリートに必要なタンパク質量
ここからはスポーツをする子供に必要なタンパク質は、どれくらいがいいか考えていきます。
アメリカスポーツ医学会の推奨量
アメリカスポーツ医学会が2009年に発表した「栄養とスポーツパフォーマンス」に関する声明(※1)の中では、スポーツ選手の体重1kgあたりのタンパク質量は下記が推奨されています。
■体重1kgあたりの1日のタンパク質推奨量
持久系スポーツ (陸上長距離など) |
1.2~1.4g/kg |
瞬発系スポーツ (野球・陸上短距離など) |
1.2~1.7g/kg |
パワーが必要な瞬発系スポーツですと、よりタンパク質量が多めに推奨されていることが分かります。
これをもとに計算しますと、例えば12歳・体重45kgの野球男子だと54~76gが目安ということになりますね。
タンパク質の正確な必要量はそのときのトレーニング量も含め、様々な要因の影響で変動するので、コレと言い切れませんが、スポーツ選手のタンパク質必要量は一般人よりも多いことは覚えておきましょう。
食事摂取基準における目標量
次に、厚生労働省の「食事摂取基準」策定検討会報告書をもとに、ジュニアアスリートのタンパク質の1日の摂取量を考えてみます。
食事摂取基準においてタンパク質からの摂取カロリーは、1日に必要なカロリーの13~20%が目標量とされています。
また「スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合(身体活動レベルⅢ)」において、タンパク質の目標量は以下のようになっています。
■1日のタンパク質の目標量
年齢 | 男子 | 女子 |
6~7歳 | 55~85g | 52~80g |
8~9歳 | 67~103g | 62~95g |
10~11歳 | 80~123g | 76~118g |
12~14歳 | 94~145g | 86~133g |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書.第一出版,2020.
※身体活動レベルⅢの目標量を参照
同じ条件の12歳・体重45kgの男子では、94~145gが該当し、体重1kgあたりでは2~3gという量になります。
アメリカのスポーツ医学界の推奨量よりも、食事摂取基準の目標量のほうがはるかに多いですね。
どちらを参考にすべきか
どうしてこれほど必要量に違いが出るのでしょうか。
これだけの違いが出る要因としては、アメリカスポーツ医学会で示されている量は「大人のアスリート」を対象にしているという点が大きいでしょう。
小学生~中学生の子供の場合は消費する分の栄養素だけでなく、成長する分の栄養素も必要になることから、体が小さくても多くの栄養が必要になります。
そのため体重1kgあたりで換算すると必要なエネルギーやタンパク質は、大人よりも大きい値となります。
例えば部活をしている中学生男子であれば1日あたり約3000kcalほどの摂取カロリーが必要になりますので、タンパク質は120~150gが必要になってもバランス的におかしくありません。
※タンパク質1g=約4kcal
3,000×15%÷4=120g
したがってジュニアアスリートにおいては食事摂取基準の方を参考にした方がよいでしょう。
(1日に必要な摂取カロリーについては「ジュニアアスリートの食事4原則」もご参照ください)
タンパク質の多い食べ物
では、どんな食べ物にどのくらいのタンパク質が含まれているのでしょうか。
日頃よく使う食材で、1食分に使用する量でタンパク質の多い食べ物をみてみましょう。
食品名 | タンパク質量 |
豚もも肉(80g) | 17g |
鶏ささみ肉(80g) | 19g |
牛もも肉(80g) | 16g |
鮭(80g) | 18g |
鯖(80g) | 16.5g |
卵(1個50g) | 6.1g |
納豆(1パック40g) | 6.6g |
厚揚げ(1/2枚70g) | 7.5g |
木綿豆腐(1/4丁75g) | 5.3g |
プロセスチーズ(1個15g) | 3.4g |
ヨーグルト(1個75g) | 2.7g |
牛乳(1杯150g) | 4.9g |
カニカマ(4本30g) | 3.6g |
ウインナー(2本35g) | 4g |
特に肉や魚にタンパク質が豊富に含まれていることが分かりますね。
減量中でカロリーを抑えたい場合は、厚揚げは熱湯をかけて油抜きをする、ウインナーは焼くのではなくボイルする、鶏肉は皮を取り除いて調理するなど、油が落ちるよう調理法を工夫するとよいでしょう。
また、肉・魚・卵などの動物性食品に含まれているタンパク質と、大豆製品など、植物性食品に含まれているタンパク質とでははたらきが異なります。
このためタンパク質を摂る際には、動物性食品からひとつ、植物性食品からひとつ等、複数の食品を組み合わせて摂るとバランスがよくなり、より効果的に体づくりができます。
ジュニアアスリートの高タンパク質メニュー
12~14歳男子の夕食例として、タンパク質が40gとれる献立例をご紹介します。
【鶏肉のトマト煮 献立】
<献立>
・ごはん 大盛り 250g
・野菜の味噌汁
・鶏肉のトマト煮 (鶏もも肉120g)
・ピリ辛冷や奴
・牛乳 150g
・りんご 100g
<栄養価>
エネルギー : 983kcal
タンパク質 : 43.1g
<ポイント>
鶏肉は皮を除くことで、脂肪分と摂取カロリーをより抑えることができます。にんにくをきかせるとごはんがモリモリ進みます。
冷や奴の豆腐は絹ごしよりも、よりタンパク質の多い木綿豆腐を使用しています。ピリ辛味にして食欲増進。
タンパク質摂取量はキープしたいけど、エネルギーは押さえたい!という方は、「アスリートの減量期メニュー|1日1600kcalの食事ってどれくらい?」を参照ください。
少食な方は
こんなにたくさん食べられないという子には、補食を取り入れて食事回数を増やしたり、ジュニアプロテインを活用したりするのもおすすめです。
ジュニアプロテインは子供に多く必要になるカルシウムや亜鉛などの栄養素がバランス良く配合されており、手軽に不足分の栄養補給が出来ます。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました!
参考文献
伊藤貞嘉 佐々木敏 監修:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書.第一出版,2020.
1)Rodrigues NR et al.: Amarican College of Sports Medicine position stand. Nutrition and athletic performance. Med Sci Exerc, 41:709-731, 2009.