スポーツや食に関わる専門家の方々が、「食と栄養」にどのように向き合っているかを学ぶ「#栄養の窓」シリーズ。
今回お話を伺うのは、米粉を使った「体にいいおやつ」をInstagramで発信している「ねぎちゃん」。
フォロワー数は17万7000人(2024年3月時点)と、家にあるものでサッと作れる手軽さと体に優しい素朴なおいしさから支持を集めています。
2023年からスクスクダイズのアンバサダーとしても活動し、レシピを投稿すると動画の再生数が30万回以上となるほど。
そんなねぎちゃんに、どうして「体にいいおやつ」を作っているのか、どのようにレシピを開発しているのか、
今後の展開などについてお聞きしました。
目次
ねぎちゃん プロフィール
米粉おやつ研究家、お米ライフクリエイター・食育アドバイザー。薬膳検定1級の資格を持つ。
2020年から育児や仕事の合間に独学で米粉のお菓子をオリジナルで作るとともに、写真や動画で撮ってInstagramに投稿している。
2023年に初の著書となる『体にいいおやつ』を発刊するとともに、企業のレシピ開発や料理のワークショップなどで活躍中。3姉妹の母。名古屋市在住。
ねぎちゃんのホームページはこちら
米粉を使うようになったきっかけ
―ねぎちゃんはいつから、今のような米粉の「体にいいおやつ」を作るようになったのですか?
子どもが生まれてからこの子たちの将来、またその先の将来を考えたときに、日本の食料自給率を考えるようになって、このままではまずいなと思ったんです。それがきっかけですね。
今子どもは3人いて、それぞれ6歳・4歳・1歳なんですけど、そう思ったのは長女が1歳くらいのときでしたね。日本は食料自給率が低い※っていうけど、豚などの家畜のえさも考えると、さらに低いんですよね。
※令和4年度の日本の食料自給率:38%
何か私なりにできることがないかと考えて、国産のもので日本人がなじんできた食材、米を使って何かをやりたいと思いました。
米粉を使った手軽に作れるものを発信して、国内産食品の消費を増やすきっかけになれたらなと思ったんです。
米粉を使ったのは、私も子どもも特にアレルギーがあったからというわけではないですけど、単純においしかったから、食べやすかったからというのがあります。
「買物は投票」
-Instagramの投稿を見る限りでは、そんなに熱い想いを持っているとは思いませんでした…。
そうですね(笑)
私自身、自分が長い文章を読むのが苦手で疲れる…そんなタイプだからこそ、わかりやすく、コンパクトな動画や内容にしたい、心がけているというのもあります。
でも、フォロワーさんの中には国産消費への想いに気づいて、共感してくれている方も何人かいるので、そうやってこの動きが広がってくれたらなぁと思っています。
▲ねぎちゃんが材料として使っている米粉など
「買い物は投票」という言葉がありますけど、私たちがスーパーに並んでいる食材のどれを選ぶかで日本の将来を選ぶんじゃないかとさえ思っているんです。
おやつを食べるときの幸せな時間を共有したい
-普段、そこまで考えて買い物していなかったのですが、そう言われてみるとすごく深いですね。お子さんが生まれてから考えたというのは大きかったと思いますが、何かほかにもきっかけはあったのですか?
私、前職は旅行代理店で仕事をしてきていろんな海外の国々を見てきたなかで、結局一周回って日本がいいって思ったんです。
もともと海外が好きだったし、子育て世代の間では、海外の国の子育てのしやすさなんかが話題に上って日本以外の国に憧れることもありました。
でもやっぱり、日本っていいなって思ったんです。日本の食材、文化、ずっと続いてきたもの、お米ってすごくいいなと子育てをするようになってさらに強く感じるようになりました。
あとはもともと食べることが大好きで、女手一つで育ててくれた母が忙しい中も作ってくれたおやつは、子どものころの幸せな思い出です。
夜ご飯の後にデザートとして用意してくれた手作りのプリンや日曜の朝に一緒に作って食べたホットケーキなど。
今もおいしいものを食べた後、家に帰って自分で作ってみたり、レシピ開発のうえで参考にしてみたりと、食べること、作ることの楽しさとつながっていると思います。
「親」目線のレシピ開発
-レシピはどのように考案されているのですか?
スクスクダイズを使った「きな粉棒」は、子どものころ駄菓子屋さんで食べたものがベースとなっていて、あんな感じのものを作れたらなぁと思ったのがきっかけです。
きっと、きなことはちみつでできているのかなとか考えながら、試作しました。
-試作はどのくらいするのですか?
1回でいいなと思うものを作れることもあるし、10回20回やって、やっと発表するものもあります。どのレシピも最低2〜3回は作って本当にいいと思うものを出しています。
私のレシピは、パティシエの世界のようなきっちりとした理論ベースよりも、子育ての合間にサッと作れるもの、家にある食材で、洗いものが少なくて済むものをという「親」目線ですから、私は研究家と言っても、ちょっとまた別の路線になるかもしれません。
米粉の世界は、まだ理論が確立されていない部分もあるからこそ、自由に作りやすいものを自分なりに追求できたというのもあったと思いますね。
食べ物にリスペクトを持って投稿したい
-動画も非常にわかりやすくて、クオリティが高いなと感じますが、すべて独学ですか?
はい、ありがとうございます。そうなんです。試行錯誤で今のかたちになっています。
企業さんからレシピ開発の依頼を受けており、その中にはアレルギー食材28品目を使わないようにというリクエストが入ることもあるのですが、逆に制限があることに燃えるタイプでして(笑)
難しいことにこそ、やりがいを感じるのかもしれません。とにかく楽しくて、これまで続けてきたという感じです。
-大変だと思うことはなかったのですか?
そうですね…本を出版する前は午前2時まで作り続けて、朝5時に起きるというような日々で、部活をやっているような感じでしたね(笑)
あと、子どもが生まれたときは1〜2ヶ月の間はとにかくかかりきりになるので、インスタの投稿がしばらくできなかったこともありました。
子育ての合間にどうやって時間を捻出するか、という意味では苦戦しましたけど、とにかく楽しくて。
▲2023年に発刊した『小麦粉・砂糖なし。思い立ったらすぐできる!体にいいおやつ』(Gakken)
今年もまた本を出す予定で、より多くの方に米粉のレシピを伝えられたらなと思っています。
フォロワーさんは子育て世代の方が中心ですが、最近は学生さんなどいろいろな世代、職種の方々に広がってきているなと感じていて、とてもうれしいです。
―活動するなかで大事にしているのはどんなことですか?
家にあるもので作りやすく、サッと手軽にできるものをわかりやすく伝えることです。
ただ、食材を使って面白おかしくバズらせるというのは何か違うのかなと思っていて、食べ物にリスペクトを持って投稿したいなと思っています。
米粉との相性もよいスクスクダイズ
-スクスクダイズのアンバサダーになったのは最近ですが、以前からスクスクダイズを使っていたとか?
はい、そうなんです。2年前に知人から紹介されてスクスクダイズを知ったのですが、初めはサプリでないのに、なんて栄養価が高いんだろう…って思いまして。
食べてみると、普通にきな粉の味わいでびっくりしました。
こんなに自然なおいしさで1日に必要な栄養素の半分がとれちゃうなんて、すごいなって。
それからはちょくちょく買って、パンケーキに入れたり、甘酒に混ぜて子どもに飲ませたりしていますね。鉄分は、3歳くらいまでは食事からとることが難しいので、助かっています。
鉄分は不足するとイライラしたり、機嫌が悪くなったり、夜泣きがひどくなったりするとも言われていますが、おかげさまで軽減しているのかなと感じています。
―そうですね。スクスクダイズに入っている鉄分やカルシウムはどの年代でも不足しがちと言われる栄養素です。
米粉との相性もすごくいいので気に入っています。これからも米粉のおやつにも活用していきたいです。
こだわりを持つ企業さん・農家さんを応援しながら、日本の食の未来に貢献したい
-今後やっていきたいことはありますか?
アストリションさんをはじめ、こだわりを持って製品を提供している企業さん、食材を生産してくださる農家さんを応援できるような活動ができたらと思っています。
最終的には日本の食の未来に貢献できるといいなと。
あとは2023年からInstagramや本の出版だけでなく、おやつ作りのワークショップやマルシェなどイベントを通じて、リアルで人とやり取りすることが増えています。
県内外のさまざまなところに出向いて、想いを同じくする人たちと一緒に取り組んでいきたいです。
取材協力:梅澤あゆみ(ライター)
日刊県民福井記者、埋蔵文化財の発掘調査の仕事を経て2019年よりフリーランス。現在、複数企業のメディアでインタビュー記事の執筆や広報活動などをしている。福井市在住