こんにちは!管理栄養士の足立です。
朝の空気がひんやりしてくると、なんだか気持ちが引き締まる思いがします。それは、【駅伝シーズン】が近づいているからです。
私がサポートしているチームの多くは、陸上の長距離や駅伝チームが中心ですし、私自身もかつて陸上の長距離選手として駅伝に出場してきた経験があるので、この季節になると「いよいよだな」と感じることがよくあります。
また、この時期になると、中学生の保護者の皆さまから駅伝前の食事についてのご相談が増えるのも毎年のことです。
「普段は野球部なんだけど、駅伝メンバーに選ばれて出場することになった!野球では3キロも走り続けることがないから、何を食べさせたらいいのか悩んでいて……」
「サッカー部なんですが、区間ごとにスタート時間が違うので、どんなスケジュールで食事を取ればいいのか教えてほしい……」
といった声が多く寄せられます。
駅伝といえば陸上選手のイメージが強いですが、中学生になると学校全体で取り組むことも多く、他の部活動の選手が走力を活かして駅伝に出場するケースも見られます。
学校代表として出場するのは誇らしいことですが、いつもと違う環境や競技に戸惑い、保護者の方も新たな悩みを抱えることが多いようです。
そこで本日は、陸上長距離や駅伝におすすめの食事についてお伝えします!
目次
駅伝の特徴とは?
駅伝には特有の特徴があります。まず、1区を除いて各区間のスタート時間がバラバラです。選手は自分のスタート時間を把握し、そのタイミングに合わせて補食や水分補給を計画する必要があります。
また、区間ごとにコースの内容が異なる場合も多く、平坦な道だけではなく、アップダウンがある区間もあります。
これにより、選手によってエネルギー消費や体力の使い方が違ってくるため、補食のタイミングや量に工夫が求められます。
さらに、秋~冬の季節では、湿度が低く、水分補給が疎かになりがち。喉の渇きを感じにくく、隠れ脱水になるリスクが高くなります。試合前からの計画的な水分補給が不可欠です。
食事メニュー例と補食のスケジュール
今回ご紹介する献立はサッカーや野球の試合前にも活用いただけます。
試合当日のおすすめ朝食メニュー
<献立>
・おにぎり2個(鮭、高菜&しらす)
・ミニトマト
・さつまいもの甘煮
・味噌汁(豆腐、キャベツ、鶏肉※皮なし)
・100%リンゴジュース
<栄養価>
エネルギー:572kcal
タンパク質:17g
脂質:3.4g
炭水化物:126g
ビタミンC:36mg
レース前の食事では、脂質の多いおかずは避けて、エネルギー源となる炭水化物をしっかりとることが大切です。
今回のメニューでは揚げ物・炒め物のおかずは入れず、味噌汁の鶏肉も皮をとることで低脂肪にしています。
またさつまいもの甘煮やリンゴジュースを加えることで、ご飯以外でも炭水化物を補えるようにしています。
スタート時間を考えて補食をとる
駅伝では区間によってスタート時間が異なるため、全員が一律に補給するのではなく、スタート予定時刻から逆算して、各自で補食を取ることが必要です。
水分補給も同じく、自分のスタート時間を意識し、適切なタイミングで補給することが大切です。
補食や水分補給は、「お腹が空いたから食べる」「喉が渇いたから飲む」という感覚に頼らず、スタート時間や目標タイムを基に計画を立てて行うことが重要です。
自分の大まかなスタート時間を把握し、それに合わせてウォーミングアップと同様に、補食や水分補給のスケジュールも調整しておきましょう。
一例のスケジュールはこちらです。
練習同様に栄養も大切
私は、駅伝チームに帯同することが多く、ここ7年間は元旦に開催されるニューイヤー駅伝のために、群馬県でチームと一緒に年越しをしています。
今年も群馬で日の出を見ながら、1年がスタートしました。選手たちは試合の数日前から現地入りし、コースの試走を行います。
「ここは何キロ地点だ」「このあたりは向かい風が強くなりそうだ」「ここには起伏があるな」など、実際に走ってみるからこそ分かる細かな点を確認していきます。
また、トレーナーによるケアや、事前に調整した食事を摂りながら、体調を万全に整えていきます。
私がサポートするチームでは、試合当日のミーティングで、朝の体を動かす時間や現地への出発時間、目標タイムと同様に、朝食の時間も共有するようにしています。
また、朝食の時間だけでなく、選手一人ひとりの食事内容も事前に確認し、把握しておくことが大切です。
試合前は食欲が出にくい選手もいるため、そんな選手にはうどんやお餅など、食べやすいものを準備します。
逆に、お米がしっかり食べたい選手にはおにぎりを用意するなど、個々の好みに合わせた対応を心がけています。
このように、食事のタイミングや内容も、試合に向けた重要な戦略の一部として位置付けられています。
選手がベストパフォーマンスを発揮できるよう、栄養面からのサポートも練習と同じくらい重要な要素なのです。
スタートとタスキ渡し地点が違う場合
駅伝のコースによっては、スタート地点とタスキを次の走者に渡すゴール地点が異なる場合があります。そのような場合、着替えやタオルと同じく、スポーツドリンクや補給用のゼリーを持たせることをおすすめします。
また、ゴール後すぐにスタート地点へ戻れない場合には、プロテインなども用意しておくと、走り終わった後のリカバリーがスムーズに行えます。
陸上部ではない選手にとって、いつもと違う疲労感を感じることがあるかもしれません。そのため、通常の練習に影響が出ないよう、しっかりと疲労回復をしておくことが大切です。
走り終わった後に素早くエネルギーを補給できるよう、事前に準備をしておくことで、選手の回復をサポートしましょう!
一本のタスキに仲間や家族の想いを込めて走る駅伝。その大切な瞬間に、力を出し切れるようなお食事や捕食で、しっかりと選手たちを後押ししていきましょう!
皆さまのサポートが、きっと大きな力になります。
今回の内容が少しでも参考になり、皆さまのサポートの助けになれば幸いです。