ツナ(ツナ缶)は離乳食の鉄分補給におすすめの食材です。
赤ちゃんは生後6ヶ月頃から鉄分不足になりやすく、離乳食で補う必要があります。
赤ちゃんの健やかな成長を支えるため、離乳食を工夫して鉄分強化を行いましょう。
そこで今回は、ツナに含まれる鉄分含有量や量の目安、おすすめ簡単レシピ5つを管理栄養士が紹介します。
目次
ツナは離乳食中期(生後7~8ヶ月頃)から!種類別の含有量
ツナ(ツナ缶)は離乳食中期(生後7~8ヶ月頃)から使用できます。
ツナの原材料であるマグロまたはカツオは赤身魚となるため、タイやヒラメなどの白身魚を試した後に使ってみるとよいでしょう。
ツナは原材料によって鉄分含有量が異なるため、比較してみましょう。
【100gあたりの鉄分含有量】
ツナの種類 | 鉄分含有量 |
マグロ油漬缶 | 0.5mg |
マグロ水煮缶 | 0.6mg |
カツオ油漬缶 | 0.9mg |
※カツオ水煮缶は日本食品標準成分表に掲載されていません。
中でもカツオで作られたツナに鉄分が多いことがわかります。
より鉄分をたくさん摂りたい場合は、カツオが原料となっているツナを選ぶとよいでしょう。
離乳食向けのツナはどれを選べばよい?
離乳食中期から離乳食後期は「水煮(オイル無添加・オイル不使用)」かつ「食塩不使用」タイプのツナを選びましょう。
油が使われていないので赤ちゃんの消化の負担になりにくく、また食塩の摂りすぎを防げます。
汁も使って大丈夫なので、汁ごと使うようにすると離乳食にうまみをプラスできます。
もし油漬や食塩が入っているタイプのツナを使う場合は、汁は使わずに、一度茹でるようにしましょう。
離乳食完了期からは、油漬缶も使えるようになります。
油をよく切って使うようにしましょう。
離乳食のツナの使用量の目安
離乳食にツナをどれくらい使ってよいかは、時期によって異なります。
【時期別ツナの使用量の目安(1回あたり)】
時期 | 使用量の目安 (1回あたり) |
離乳食中期 (生後7~8ヶ月頃) |
10~15g |
離乳食後期 (生後9~11ヶ月頃) |
15g |
離乳食完了期 (生後12~18ヶ月頃) |
15~20g |
おおよその目安であり、多少前後しても問題ありません。
また1回あたりの量の目安になるため、ほかに肉や卵、豆腐などのタンパク質源を使う際は、ツナの量を減らすようにしましょう。
離乳食向け!鉄分補給できるツナを使ったレシピ5選
鉄分補給にぴったりのツナを使った、離乳食向けの簡単レシピを5つ紹介します。
※冷凍保存できるかどうかについても紹介していますが、冷凍保存をする際は、記事最後の注意点をご覧ください。
【中期・後期】レンジで簡単!かぼちゃとツナのきな粉ミルク煮
甘みがありやわらかいかぼちゃは、パサつきがちなツナを食べやすくしてくれます。
冷凍かぼちゃを使い、電子レンジであっという間に完成します。
鉄分を含むきな粉とあわせて、やさしい味わいのミルク煮にしました。
<材料(1食分)>
・冷凍かぼちゃ 1~2個分(皮を取った状態で約20g)
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 10~15g
・育児用ミルク(溶かしたもの) 小さじ2(または牛乳)
・きな粉 小さじ1
<作り方>
1)冷凍かぼちゃは耐熱皿に入れ、水小さじ1(分量外)をかけ、ラップをして電子レンジ(600W)で50秒~1分ほど、やわらかくなるまで加熱する。水気を切り、皮を取ってフォークなどでつぶす。
2)1に汁気を切ったツナ缶、育児用ミルク、きな粉を加えて混ぜ、再びラップをして電子レンジ(600W)で約30~40秒加熱したら出来上がり。
出来上がりが硬い場合は、湯冷ましなどを加えて調整してください。
<冷凍保存について>
冷凍保存できます。1食分ずつ小分けにして冷凍してください。
<栄養成分値>
42kcal 鉄分0.4mg
今回のレシピで使用したきな粉は、離乳食におすすめの「スクスクダイズ」です。
きな粉と同じように使えるスクスクダイズは、鉄分やカルシウムが豊富であり、赤ちゃんの栄養補給にぴったりです。
普通のきな粉の鉄分含有量が小さじ1あたり0.19mgに対し、スクスクダイズは1.67mgほど。
ヨーグルトやお粥に混ぜるだけで、簡単に取り入れられます。
【中期・後期】ツナと小松菜の煮込みうどん
鉄分豊富なツナと小松菜を使った煮込みうどんです。
これ1品でさまざまな食材をとれるのがうれしいレシピです。
<材料(1食分)>
・うどん(茹で) 中期:40g 後期:60g
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 10~15g
・小松菜(葉先) 10g
・お好みの野菜(玉ねぎ・白菜・にんじんなど)20g
・だし汁 120ml
・水溶き片栗粉 適量
<作り方>
1)うどんは細かく刻む(後期の場合は1cm程度に切る)。小松菜はラップに包んで電子レンジ(600W)で約20~30秒加熱し、水をかけて冷まして細かく刻む。白菜やにんじんなどのお好みの野菜をみじん切りにする。
2)鍋にだし汁を入れて沸かし、うどん、軽く汁気を切ったツナ缶、お好みの野菜を加えて煮る。途中で小松菜を加えて、野菜がやわらかくなるまで煮込む。途中、だし汁が少なくなったら足す。
3)水溶き片栗粉でとろみをつけたら出来上がり。
<冷凍保存について>
冷凍保存できます。1食分ずつ小分けにして冷凍してください。
<栄養成分値>
68kcal 鉄分0.5mg
【中期・後期】ツナとブロッコリーのトマトスープ
ツナとトマトのうまみたっぷりスープに、ブロッコリーを入れて鉄分をプラスしました。
<材料(2~3食分)>
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 30g
・トマト 1/2個(種と皮を除いて50~60g)
・冷凍ブロッコリー(穂先) 2房分
・水 150ml
・水溶き片栗粉 適量
<作り方>
1)ツナ缶は汁気を切り、食べやすい大きさにほぐす。トマトは種と皮を除き、食べやすい大きさに刻む。冷凍ブロッコリーは電子レンジ(600W)で30秒加熱して半解凍の状態にし、穂先の部分を刻む。
2)鍋に水、ツナ缶、トマト、ブロッコリーを入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にしてふたをし、3分煮込む。水溶き片栗粉でとろみをつける。
<冷凍保存について>
冷凍保存できます。1食分ずつ小分けにして冷凍してください。
<栄養成分値(1/2量あたり)>
23kcal 鉄分0.2mg
【後期・完了期】豆腐とツナのハンバーグ
手づかみ食べにぴったりな、豆腐とツナのふんわりとした食感のハンバーグです。
豆腐も鉄分が含まれるため、鉄分補給にぴったりです。
<材料(6~8食分)>
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 1缶
・木綿豆腐 150g
・玉ねぎやにんじんなどお好きな野菜 50g
・パン粉 大さじ2
・片栗粉 大さじ1/2
・サラダ油 適量
<作り方>
1)玉ねぎやにんじんなどのお好みの野菜はやわらかく茹で、みじん切りにする。
2)ボウルに汁気を切ったツナ缶、木綿豆腐を入れて手で潰しながらよく混ぜる。野菜、パン粉、片栗粉を加えてさらによく混ぜ、6~8等分の平たい楕円形にする。
3)フライパンにサラダ油を入れ弱めの中火で熱し、2を焼く。焼き色がついたら上下を返し、フタをして5分ほど、中まで火が通るまで焼く。
<冷凍保存について>
冷凍保存もできます。冷めたら1個ずつラップに包み、保存袋に入れて冷凍します。解凍は電子レンジ600Wで50秒~1分ほど、様子を見ながら加熱してください。
<栄養成分値(1/6量)>
38kcal 鉄分0.5mg
【完了期】ツナとひじきのレンジオムレツ
鉄分補給に役立つツナ、ひじき、卵を使った、レンジで作れる簡単オムレツです。
パサつきやすいツナとひじきは、オムレツにすることで食べやすくなります。
<材料(1個分)>
・卵 1個
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 10g
・ひじき(茹でたもの) 大さじ1(約10g)
・お好みの野菜(茹でたもの・にんじん、ブロッコリーなど) 10g
・だし汁(または牛乳) 大さじ1
<作り方>
1)卵はよく溶きほぐす。ツナ缶はほぐし、ひじき(茹でたもの)は粗く刻む。茹でた野菜は食べやすい大きさに刻む。
2)丸く深さのある耐熱皿にラップを敷き、1を入れてよく混ぜ、電子レンジ(600W)で30~40秒加熱する。一度取り出してかき混ぜる。
3)再び40~50秒加熱し、火が通ったらラップで包んで約3分蒸らす。食べやすい大きさに切り分けたら出来上がり。
<冷凍保存について>
卵は冷凍保存に向かないため、1回ずつ作りましょう。ひじきはまとめて茹でて、冷凍しておくと便利です。
<栄養成分値>
90kcal 鉄分1.0mg
手軽に使えるツナは、赤ちゃんの鉄分補給にぴったりの食材です。
今回紹介したレシピを参考に、ぜひ積極的に活用しましょう。
参考文献
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
冷凍保存に関する注意点
冷凍保存をする際は、衛生面に注意しましょう。
出来上がった離乳食は1食分ずつ小分けにして素早く冷まし、冷めたらすぐに冷凍します。
解凍する際は鍋や電子レンジで十分に再加熱をしましょう。
保存期間は1週間を目安にし、なるべく早めに食べ切るようにしてください。