ラグビーやサッカー・柔道といった競技は、コンタクトスポーツのため怪我のリスクが高い競技です。体作りやエネルギー補給などの食事や栄養を意識して実践することで、怪我を予防することが大切です。
例えばジュニアラガーマンの怪我では、受傷傾向として「骨折・ひび」の割合が全体の約50%と半数を占めるようです。
そこで今回は成長期ジュニアアスリートの怪我の特徴や、不足しがちな栄養素についてお話していきます。
目次
成長期のスポーツによる怪我
スポーツで起こる怪我には「スポーツ外傷」(骨折、脱臼、捻挫など)と、身体に過度の負担が繰り返しかかることによって、痛みなどの症状が慢性的に現れる「スポーツ障害」があります。
成長期のスポーツ外傷では骨折、捻挫が多く、スポーツ障害では骨端症を中心とした骨の疾患が挙げられます。
この時期は身長が急激に伸びる時期であり、骨の成長に対し、筋肉・腱がそれを追いかけるように発達していくため柔軟性の低下が起こります。
このような骨や筋肉・腱の発達段階の特徴から前述の外傷や障害が起こりやすいのです。
成長期は心も体も発育発達をしていく時期であり、大人のミニチュアではありませんので成長期特有の怪我の特徴を知ることも大切です
骨づくりに必要な栄養素とは
骨を強くするポイント
独立行政法人日本スポーツ振興センターの「学校の管理下の災害-基本統計-」によると、小学生~高校生の骨折率は年々増加傾向がつづいています。
子ども達の骨が弱くなっている要因としては、食生活の偏り、外遊び・運動の減少、睡眠不足が考えられます。
骨を強くするためには、①骨を育む栄養素をとる、②外遊び・運動をする、③8時間以上の睡眠をとる、の3つがポイントです。
骨を強くするにはカルシウム以外の栄養素も大事
骨を育む主な栄養素は、皆さんご存じの通り「カルシウム」ですが、骨の材料はカルシウムだけではありません。
骨は「カルシウム」と「コラーゲン」でできていて、骨をビルに例えると、鉄骨が「コラーゲン」で、コンクリートが「カルシウム」です。
骨にカルシウムが詰まっているほど骨量の多い(骨密度が高い)骨、強い骨になります。また、コラーゲンを作る際にはたんぱく質と鉄、ビタミンCが必要であり、骨を強くするためには、いろんな栄養素が連携しているのです。
そんな骨量は、10代の成長期に増加し始め、18〜20歳で最大骨量に達し、成人期はそのまましばらく維持され、中高年期になると加齢とともに減少していきます。
この最大骨量が骨の一生の土台となり、将来の骨の健康のためにも、そして怪我を防ぐためにも成長期のカルシウム摂取は重要です。しかしながら、多くの世代でカルシウム摂取不足が課題となっています。
給食の有無がカルシウム摂取量に影響?
図は、給食のある人ない日の1日あたりのカルシウム摂取量と主に小中高生が1日に摂取するカルシウムの推奨量を示しています。
給食では牛乳が提供されていることや、学校給食のカルシウム基準値は食事摂取基準の推奨量の50%としていることもあり、給食がない日に比べるとカルシウム摂取量が多いことが分かります。
給食がない場合も、小学生男子は牛乳1本(200ml)、小中学生女子は1本半、中学生男子は2本半を飲むことで不足分を解消することができることも分かります。
また別のデータで、小学生の時に給食で出た牛乳を飲んでいた子は、飲んでいない子と比較して中学生の時の骨密度が高い傾向にあることも分かっています。
給食で牛乳が提供されていても飲まない子もいるそうですが、給食があるから栄養は大丈夫!と保護者の皆さんは安心せず、給食が提供されていても子ども達が「何をどのくらい食べているのか」を知ることも大事かもしれません。
牛乳嫌いの子どもにもおすすめの手作りおやつ
カルシウムを手軽に補給できるおやつ(補食)として、きな粉と牛乳を使ったレンジで作る簡単ミルクプリンをご紹介します。きな粉もカルシウムが豊富に含まれている食材の1つ。
牛乳に混ぜて飲む場合もありますが、苦手な場合はミルクプリンがおすすめです。ぜひお試しください。
【材料(4人分)】
・牛乳 400ml
・砂糖(きび糖) 大さじ3
・青きな粉(きな粉) 大さじ2
・ゼラチン 5g
※砂糖やきな粉の量はお好みで調整してOK
【作り方】
(1)耐熱容器に材料を入れ、レンジで加熱する
(2)砂糖が溶けるまで、様子を見ながら加熱する
(3)容器にそそぎ、冷蔵庫で冷まし固まれば完成♪
【栄養価(1人分)】
エネルギー 113kcal
たんぱく質 6.2g
脂質 4.9g
炭水化物 13.0g
カルシウム 120㎎
参考文献
成長期アスリートにおける傷害総論:日本アスレティックトレーニング学会誌 第4巻 第1 号 11-17(2018)
公益財団法人スポーツ安全協会HP https://www.sportsanzen.org/index.html
独立行政法人日本スポーツ振興センター「学校の管理下の災害-基本統計-」
一般社団法人JミルクHP https://www.j-milk.jp/
日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)