ジュニアアスリートの食事

アスリートが運動前に食事をとる場合のタイミング・食べ物について 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アスリートが運動前に食べて良いものと悪いものとは

こんにちは。管理栄養士の盛岡です。

トレーニングを行う前に食事をとり、お腹が痛くなったという経験がある方は多いのではないでしょうか。空腹な状態では集中して練習できませんが、かといって体が重くなったり腹痛になったりしても練習になりません。

特にスポーツ少年団ですと、練習が夜19時からといった微妙な時間に始まるチームも多いので、子供にどのタイミングで食事を取らせたらよいのか悩む方もいるかと思います。

そこで今回はアスリート・スポーツ選手が練習効果を高めるための、運動前の食事のポイントについて解説いたします。

運動前の食事で必要な栄養素

運動前の栄養摂取においては、以下の2点がポイントになります。

糖質(炭水化物)はしっかりとる

ごはん・パン・麺類などに含まれている糖質は、トレーニング時のエネルギーや集中力の源となるためしっかりとるようにしましょう(夕方からトレーニングを行う場合は、必ずしも補給しなければいけないわけではありません)。

またマラソン・ロードバイクなど運動時間が長いスポーツの場合には、運動前にしっかり補給していてもエネルギー不足になり、ひどいときには低血糖状態になることもあります(これをハンガーノックといいます)。

これらの競技では、運動前だけでなく運動中にもスポーツドリンクやエネルギーゼリーで適宜糖質を補給することが大切です。野球のような練習時間が長くなりがちなスポーツも注意しましょう。

脂質は控えめに

脂質もエネルギー源になる栄養素ではありますが、糖質と比べると消化吸収に時間がかかります。胃腸が消化を行っている間に運動をすれば、腹痛の原因になりやすいです。

脂身の多い肉を使った料理や、揚げ物のおかず、菓子パン類は脂質が多いため控えるのがよいでしょう。

食事のタイミングと食べ物

低脂肪な食事メニュー

運動前に食事をとる場合には、タイミングも大切です。トレーニングを始める時間から逆算して、何を食べるか考えてみましょう。

2~3時間前には食事をすませる

ごはん+おかずをそろえたメニューをとる場合には、トレーニングの2~3時間前には食べ終えるのがポイントです。

ごはんやパンといった糖質源であっても消化に時間はかかります。またおかずも食べることになりますと少なからず脂質もとることになりますので、遅くとも2時間は空けておきたいところです。

特に、万全のコンディションで挑みたい大事な試合の前には、食事は3~4時間前にはすませるようにしたり、お腹がはる原因になりやすい食物繊維の多いおかず(野菜や海藻などを使うメニュー)も控えめにします。

時間がないときのエネルギー補給

どうしてもスケジュール的に2時間も空けられない、かといって何も食べないのは空腹が辛い、そんなときには軽めの糖質補給を行いましょう。

トレーニングの始まる1~2時間前であれば、おにぎり・サンドイッチといった、デンプンが中心のゆっくりと吸収される糖質源をとります。

またトレーニングの始まる30分~1時間前であれば、バナナやエネルギーゼリー・カロリーメイトといった、砂糖・果糖が中心の素早く吸収される糖質源をとります。コンビニに置かれている一切れサイズのカステラやようかんなどもおすすめです。

アスリートの運動前の食事

プロテインを飲むなら運動後に

「プロテインは運動前にとった方がトレーニング効果が上がりますか?」という質問はよく受けますが、タンパク質は糖質と比べると消化吸収に時間のかかる栄養素なので、もしプロテインを飲むのであれば運動後にとるようにしましょう。

一方で運動後の体はタンパク質のアミノ酸を吸収しやすい状態。疲労で筋肉の分解も進んでいるため、できるだけ早く摂取することで回復と合成が効果的に行われます。

夜に練習を行う子供の夕食

夜のサッカー場

ジュニアアスリートの場合は例えば19時ごろから練習が始まるチームも多いでしょう。これはなかなか微妙な時間帯です。

19時から練習が始まるのであれば、17時ごろには夕食をすませたいところですが、これでは夕食の時間としては早すぎます。かといって帰ってから夜遅くに食事をまとめてとるとなると、寝ている間も消化が行われ睡眠の質を下げる可能性があります。

子供には十分な睡眠をとることも大切ですので、こういった場合には練習1時間前くらいでもごはん+おかずをそろえた食事をとるのがまだよいかと思います。ただその際もできるだけ低脂肪で消化のよいメニューにしましょう。うどんなどの食べやすい麺類もおすすめです。

卵とじ豆腐うどん
卵とじ豆腐うどん >

もし練習後にまとめて夕食をとるのが習慣になっている場合には、おにぎりやパンだけでも練習前に食べてエネルギー補給し、練習後はおかずだけをとるとよいでしょう。

まとめ

  • アスリートの運動前の食事では、糖質によるエネルギー補給が大切。
  • 消化に時間のかかる脂質はできるだけ控えめにする。
  • 食事は練習の2~3時間前にはすませ、時間のない場合には軽食でエネルギー補給だけ行う。
  • プロテインを飲むなら運動前よりも運動後にとる
  • 夜に練習を行う子供の場合は、多少時間がなくても練習前に食事をすませてしまうとよい。

参考文献

加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀 編:「スポーツ・運動栄養学」.講談社,2012.
林淳三:「改訂 基礎栄養学」.建帛社,2010.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加