減量・ダイエット

運動後の食事、夜遅い時間のメニューはどうすべき?【管理栄養士監修】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
夜遅い時間でも食事はとるべき?運動後の夜食術

こんにちは!管理栄養士の盛岡です。

夜遅い時間に食事をとるのは太るからダメ、寝る前3時間は何も食べないようにする。

こういったことはテレビや雑誌などでよくいわれるのでご存知の方も多いと思います。夕食の後は寝るだけなので摂取したカロリーはほとんど使われず、体脂肪として蓄積しやすいためです。

しかしだからといって、夜中まで部活動の練習をしている学生や、仕事が終わった後にジムでトレーニングをし、夕食は21時過ぎになるような方はどうしたらよいのでしょうか?

運動した後ですからお腹は空いていますし、かといって夜に何か食べて太るのも困りますよね。ダイエットのために運動している場合はなおさらです。

そこで今回は、減量中の運動後の夜はどのように食事をとるとよいのかについてご説明いたします。

関連記事:夜の練習後、子供の夕食メニュー例 >

運動後の栄養補給はとても大切

運動後、特に運動直後30分以内は成長ホルモンが多く分泌され、筋肉の合成が促進され、最も効率よく栄養を取り込める「ゴールデンタイム」と呼ばれています。

またこのタイミングは筋肉の合成だけでなく、運動による筋損傷とエネルギーの枯渇によって、筋肉の分解も進んでいます。

このときに筋肉の分解を止め、合成を促進させるために大切になる栄養素は糖質たんぱく質。下のグラフ1)2)は運動後に糖質とアミノ酸を摂取させることで、筋肉の合成と分解にどのような違いがでるかを比較した実験結果を表したものです。

※アミノ酸とは、たんぱく質を構成する部品となる物質です。体の組織を構成するたんぱく質は20種類のアミノ酸から作られています。

栄養補給なしでは筋肉の分解が進んでしまう

このグラフを見ても分かりますように、もし運動後に何も栄養補給をしなければ筋肉の分解の方が進んでしまい、体づくりの点ではマイナスです。

運動でエネルギーを消費した後は何も食べない方が体重は当然落ちやすいです。しかしそうすると筋肉量も落ちてしまうため基礎代謝の低下・リバウンドを起こすリスクも高くなるという、何のために運動をしているのか分からない状態になってしまいます。

痩せたいからといって食事をとらないのは、長期的にみたら逆効果ですので絶対にダメです。

10kmのランニングや筋トレなど、ある程度強度の高いトレーニングをしている場合には、効果を最大限に高めるためにも夜であっても運動後の栄養補給は必要であるといえるでしょう。

軽い運動の場合は?

例えば夜に20~30分程度のウォーキングやジョギングといった、軽い運動をしている場合は微妙なところです。エネルギーが枯渇するほどのカロリー消費量ではないですし、短い時間の有酸素運動であれば筋肉の損傷も少ないと考えられるためです。

夕食抜きはさすがによくないですが、運動直後の栄養補給にはそれほど細かく気にしなくてよいのではないかと思います。

軽い運動をするために夕食が遅くなるくらいなら、早めに夕食をとってその後に軽く汗を流す方が、ダイエットには良いかもしれません。

運動前の食事でエネルギー補給をする

運動前の軽食

運動後に栄養補給は大切とはいっても、必ずしもまとめて食事をとる必要はありません。仕事の関係などで夕食が遅くなる場合には、夕方の運動前に軽食をとるのがおすすめです。

運動前の軽食には以下のメリットがあります。

メリット①夜のドカ食いがなくなる

もし夜21時くらいまで運動して、家に帰ってからやっと食事となったらどうでしょうか?昼食をとってからかなり時間が空いていて、ただでさえ遅い時刻なのに運動もした後なので、体はものすごい空腹状態。

普段通りの食事量に抑えられればいいのですが、これではドカ食いの誘惑も非常に強くなります。

夕方に軽食をとっておけば、運動後の夜食でドカ食いしにくくなりますし、寝る前にカロリーを摂りすぎることもなくなります。

メリット②トレーニングに集中できる

空腹な状態では当然ながら運動に使えるエネルギーも少ないです。

特にエネルギー消費量の多いランニングをする場合には、予めエネルギー補給をしておいた方が集中できますし、トレーニングの強度も上がります。

そしてトレーニングの強度が上がるということは、結果的にダイエットにもよい影響を与えます。

メリット③低血糖を起こすリスクが減る

なかなか起きないことではありますが、激しい空腹の状態で運動をすると低血糖を起こして倒れてしまう危険性もあります。糖質の消費量が多い有酸素運動を行う場合には特に注意が必要です。

このような事故を防ぐためにも、エネルギー補給を適宜行うことは大切であるといえるでしょう。

軽食は何を食べるといいか

運動の1~2時間前であればおにぎりのようなゆっくり消化吸収される食品、運動の30分~1時間前であればバナナのようなすぐに消化吸収される食品をとることによって、万全の状態でトレーニングに臨むことができます。

<運動の1~2時間前におすすめの食品>
・おにぎり
・ロールパン
・サンドイッチ

<運動の30分~1時間前におすすめの食品>
・バナナ
・カステラ
・エネルギーゼリー
・オレンジジュース

なお、運動前の食事に肉や魚を含む料理はあまりおすすめできません。食べ物に含まれるたんぱく質や脂質は消化に時間がかかりますので、運動中に脇腹が痛くなる原因となったり、トレーニングに支障をきたしてしまします。こういったメニューは食べ終えてから運動まで3時間は空けるのが理想です。

運動後の食事はたんぱく質をとれるメニューに

夜にトレーニングがある場合の食事

トレーニング直後の疲労回復には体格にもよりますが、高校生や大人であれば20g程度のたんぱく質は必要ですので、必ず良質なたんぱく質を含むおかずを食べましょう。

良質なたんぱく質は肉・魚・大豆・卵・乳製品に多く含まれています。運動後すぐに食事をとれない場合にはプロテインでたんぱく質を補給するのも1つの選択肢です。

関連記事:良質なたんぱく質とは? ›

前述したグラフにもありますように、本来なら運動後は糖質も補給した方が筋力アップの観点では理想ではあります。ただ夜遅い時間帯でさらに減量中である場合には、運動後の糖質補給はしないというのもアリかと思います。

ダイエット時のメニュー例

例えばダイエット中の方で19時に仕事が終わる場合でしたら、食事のとり方は以下のような形がダイエットにはよいでしょう。運動を始める時間から逆算して、早めに軽食をとるようにしましょう。

時刻 スケジュール
18:30 食事(バナナ1本)
19:00 退社
19:30 ジムでトレーニング
22:00 食事(おかずだけ、
またはおかずと少量のごはん)

まとめ

  • 運動直後は筋肉のゴールデンタイムで、栄養補給をすることで効果的に筋力アップができる
  • 減量中であっても、運動後に何も食べないのは、筋肉の分解を招いてしまうためかえってよくない
  • 夕方にはおにぎりやバナナなどの軽食でエネルギー補給するとよい
  • 運動後は筋肉の疲労回復のために、必ず良質なたんぱく質をとろう

参考文献

1) Tipton KD, et al.:Postexcercise net protein synthesis in human musle from orally administered amino acids. Am J Physiol, 276: E628-634,1999.
2) Rasmussen BB et al.: Anoral essential amino acid-carbohydrate supplement enhances muscle protein anabolism after resistance exercise. J Appl Physiol, 88:386-392,2000.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加