スクスクダイズには、福井県産の「里のほほえみ」という大豆が使われています。
この大豆はとても栄養価が高く、子どもの栄養にもぴったりな原料です。
今回はこちらの大豆を栽培されている農家さんに、良い大豆を作るためのこだわりや工夫などをお聞きしました。
「里のほほえみ」とは
(福井県産大豆「里のほほえみ」)
スクスクダイズは、大豆をきな粉にしたものに麦芽糖や雑穀加工品などを加え、子どもの発育に重要な栄養素であるたんぱく質やミネラルなどが豊富に含まれています。
原材料の多くを占める大豆は非常に重要で、味や栽培方法にもこだわりを持つ農家の上田農園さんと主にお取引をさせていただいています。
使用している「里のほほえみ」という品種は、東北地方や北陸地方で多く栽培されている大豆で、たんぱく質含有量が高いのが特徴です。
(里のほほえみの枝豆)
福井県では以前は「エンレイ」という品種が多く栽培されていましたが、栄養価の高さに加えて病原菌に強く品質が安定していることから、近年では大豆はほとんど「里のほほえみ」が栽培されています。
農家の上田さんからお話を伺いました
(大豆が育っている8月ごろの畑)
こちらは仕入れている大豆農家さんのひとりである上田さん。とても気さくな方で、大豆について詳しく教えて頂きました。
良質な水に恵まれた大野
(山に囲まれた大野の畑と収穫中の大豆)
大豆を栽培している上田農園さんの畑は、福井県大野市にあります。大野市は環境省が選定した「名水百選」(昭和60年当時)の一つにも選ばれた御清水(おしょうず)があるなど良質な湧き水に恵まれている場所。
(引用:おおの観光ガイド)
大野市内で育てられた農林産物は大豆に限らず、里芋のトップブランドとしても知られる「上庄のさといも」をはじめ、質が高いとも言われています。
大野市は山に囲まれていて、寒暖差が激しいことから、この地で栽培された大豆は特に甘みが強いという特徴もあります。
(11月の収穫間際の大豆)
関東や中部地方の晴れが多い地域では、冬にも大豆を収穫することがありますが、大野市では積雪に備えて、10月下旬から収穫が始まります。
雪国で栽培や収穫の管理が厳しい地域でありながらも、親子二世代にわたって20年以上大豆を栽培している上田さんの畑では、おいしい大豆を作るためにさまざまな工夫をしてきました。
たとえば、この株の間隔。
通常、大豆の栽培はこの2倍くらい広めに間隔をとって畝を深く作って苗を植えるようですが、上田さんの畑では苗を植える間隔をその半分にしています。
その理由は、間隔を取って畝(うね)を深く作るほど、雑草が生えてしまうから。
「除草剤を使わずに、かつ雑草をなるべく生やさないようにするにはどうしたらいいか、どのくらいの幅が適切なのか、長年何度か実験をしてきて、この幅にいきついた」といいます。
(上田農園の上田智亮さん)
「消費者においしい農産物を届けるため、毎年新しいことにチャレンジしている」という上田さん。農薬を使い過ぎずいかに病気の予防をするか、父・息子二世代でこのようなさまざまな創意工夫を実践し、挑戦を続けています。
上田農園さんでは大豆のほか、米やソバ、サトイモの栽培もしており、サトイモは全国放送のテレビ番組にも取り上げられたことがあるほど、その取り組みやおいしさが評価されています。
大豆の生育にとって大事な根粒菌
▲大豆の根っこ。丸くブツブツとした形状のものが根粒菌です
大豆の根っこを見ると、丸い玉状のものがたくさんついていました。ここでちょっと大豆ならではの「豆知識」を紹介します。
マメ科植物には、「根粒菌」というものが根っこに付いて共生しています。根粒菌は土の中にいる細菌の一種で、大豆の根に写真のような粒を持つのが特徴です。
根粒菌の効果としては、次のようなものがあります。
根粒菌は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を大豆に供給する働きをしています。
引用:秋田県立大学「根粒菌(こんりゅうきん)ってすごい!!」 生物資源科学部 生物環境科学科助教 佐藤孝
つまり、根粒菌があることで生育に必要な窒素をアンモニアに変えることができ、大豆の成長を促進してくれるということです。根粒菌のすごさについて、上記の記事でこうも伝えています。
化学肥料のアンモニアは1000気圧という超高圧、500℃という高温のもとで窒素と水素の化学反応で工業的に作られますが、莫大なエネルギーを費やします。
根粒菌はこの反応を常温常圧でいとも簡単にやってしまう、まさに自然が創造した「超すぐれもの」なのです。
アンモニアは、植物の科学肥料として世界中で広く使われています。肥料効率がすぐに現れるという即効性があり、追肥にも効果的です。
ただし、化学肥料を使うことは、量によっては土中の微生物が失われることや、微生物によって成り立っていた土中の生態系が崩れることで、土の保水力や保肥力を失うというリスクもあります。
また、肥料を買うことでコストも掛かります。
根粒菌があるおかげで、肥料を買わずとも大豆の生育を促進してくれるので、非常にありがたい存在です。
里のほほえみがスクスクダイズになるまで
(大豆の選別機)
この大きな機械は大豆の選別機になります。上田さんはご自身の設備で大豆の乾燥から選別まで行うことができる、数少ない農家さんです。
大豆には「等級」というものがあり、形や色味がよいほど等級が高くなります。一番高い等級の大豆は納豆や煮豆などに使われ、等級の低い大豆は飼料などに使われます。
大豆は10月下旬~11月上旬に収穫された後、この農園内にある選別機で選別作業をして、等級ごとに分けられます。
スクスクダイズでは、比較的等級が高いものを使っています。粉にすれば形がわからなくなりますが、焙煎する際に炒りムラが出ないように、少しでも色味が良いおいしいものを味わってもらいたいという理由からです。
選別後に乾燥させて、水分量を飛ばした後、袋に詰めて出荷されます。
スクスクダイズは、炒って香ばしくなった大豆を粉にしてきな粉となり、さらにカルシウムなどを混ぜて栄養価の高い製品として皆様にお届けしています。
良い大豆を作ってくれる農家さんのおかげで、こどもたちに喜んでもらえる美味しいきな粉に仕上がります。
今後もより良い品質の商品をお届けできるよう取り組んでいきます。
上田さん、ありがとうございました!これからもおいしい大豆をよろしくお願いします!
取材協力:梅澤あゆみ(ライター)
日刊県民福井記者、埋蔵文化財の発掘調査の仕事を経て2019年よりフリーランス。現在、複数企業のメディアでインタビュー記事の執筆や広報活動などをしている。福井市在住