スポーツ栄養学の基本

【管理栄養士監修】アスリートに必要な食事量は?摂取カロリーの計算方法

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5分で分かるアスリートに必要な摂取カロリー

こんにちは。スポーツ栄養士の盛岡です。

「トップアスリートになるにはどれだけのご飯を食べないといけないんだろう?」、そんな風に考えたとき、自分にとって必要な食事量はどれだけなのか分からず悩んだことはありませんか?

アスリートやアマチュアスポーツ選手の食事管理において、自分に必要な食事量、厳密に言えばエネルギー(カロリー)を把握することはとても重要です。

減量するためにはまず通常はどれだけの摂取エネルギーが必要なのか把握しておくことで、そこからどれだけの食事制限をすれば痩せれるのかを計算することができます。

また疲労の回復や筋肉を付けるためにはタンパク質だけでなく、十分なエネルギーを摂取することが前提となります。

しかしアスリートの場合は体格や競技種目によって必要な量が大きく異なり、なかなか分かりづらいものです。そこで今回は競技別に必要な摂取エネルギーと、個別の体格に応じた計算方法について併せてご説明していきます。

※この記事で解説しているのは通常期の摂取カロリーです。増量したい場合はより多くの食事をとる必要があります。増量期の食事方法 ›

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アスリートに必要な食事量の目安

競技種目ごとのエネルギー必要量

下記の表は通常のトレーニング期におけるスポーツ種目別にみた、おおよそのエネルギー必要量です。日本人アスリートの基準体型と、日本人(または欧米人)で報告された摂取エネルギー基準値(kcal/kg)から1日あたりの目標量が算出されています。

競技種目 目標エネルギー摂取量(kcal/日)
男性 女性
陸上短距離 2,600~3,300 2,300~2,800
陸上中長距離・マラソン 3,300~4,300 2,200~3,400
陸上投てき 3,500~4,100 2,300~3,300
陸上跳躍 2,400~3,100 1,900~2,500
体操 2,200~2,900 1,900~2,500
サッカー・ホッケー・テニス 3,100~3,700 2,000~2,600
ラグビー・アメフト 4,000~5,000
自転車 3,900~4,600 2,900~3,400
水泳 3,600~4,600 2,400~3,600
ボート 3,500~4,600 1,900~2,600
野球・ソフトボール 3,400~4,300 2,200~3,400
バスケットボール 2,600~3,600 2,000~3,200
新体操 1,600~2,200
バレーボール 2,600~3,600 2,000~3,200
ハンドボール 3,400~4,600

アマチュアスポーツ選手やジュニアアスリートの摂取量

アマチュア選手や市民ランナー、ジュニアアスリートの場合は、他の人よりも少し多めに摂取するくらいの意識でもよいでしょう。その場合には厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準」の推定エネルギー必要量が参考になります。

「推定エネルギー必要量」とは、性別・年齢および活動量ごとに1日に必要なエネルギー摂取量を定めた基準で、エネルギーの不足のリスク及び過剰のリスクの両者が最も小さくなる摂取量です。成長期の年代の場合には1日に消費するエネルギー量だけでなく、体の成長に必要なエネルギー量も考慮して設定されています。

ここで使われている「身体活動レベル」とは、日常生活の平均的な活動の強度を表した指標のことです。

2・・・座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合

3・・・移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合

週に1~3日のトレーニングをしている方は身体活動レベル2を、週に3~7日のトレーニングをしている方は身体活動レベル3を参考にするとよいでしょう。

推定エネルギー必要量(kcal/日)

年齢 男性 女性
身体活動レベル 身体活動レベル
6~7歳 1,550 1,750 1,450 1,650
8~9歳 1,800 2,050 1,700 1,900
10~11歳 2,250 2,500 2,000 2,250
12~14歳 2,500 2,750 2,250 2,550
15~17歳 2,750 3,100 2,250 2,500
18~29歳 2,650 3,000 1,950 2,250
30~49歳 2,650 3,050 2,000 2,300
50~69歳 2,450 2,800 1,900 2,200
70歳以上 2,200 2,500 1,750 2,000

詳細なエネルギー必要量の計算方法

上の表の数値はあくまで目安ですので、もちろん同じ競技種目でもトレーニングの強度や選手の体格などによって消費エネルギーは異なります。

消費エネルギーを計算する方法はいくつかあり、一般人では体重から推定する方法がありますが、筋肉量の多いスポーツ選手では体重よりも除脂肪体重から推定する方が高い精度で評価できるとされています。

以下は国立スポーツ科学センター(JISS)が発表したものをもとにしたエネルギー必要量の算出方法です。サッカー選手を例にして計算してみます。

①体脂肪量の計算

体脂肪量(kg)=体重(kg)×体脂肪率(%)÷100

例)体重が65kgで体脂肪率が12%のサッカー選手の場合
65(kg)×12(%)÷100=7.8(kg)

②除脂肪体重の計算

除脂肪体重(kg)=体重(kg)-体脂肪量(kg)

例)65(kg)-7.8(kg)=57.2(kg)

③基礎代謝量の計算

基礎代謝量(kcal)=28.5(基礎代謝基準値)×除脂肪体重(kg)

例)28.5×57.2(kg)=1,630(kcal)

④自分の種目の身体活動レベルを求める

ここでの身体活動レベルとは、競技ごとの活動強度を表したもので、1日の総エネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値です。

種目カテゴリー 身体活動レベル
休養期 通常練習期
持久系 1.75 2.5
瞬発系 1.75 2
球技系 1.75 2.0~2.4

マラソンやロードバイク・クロスカントリーなどは持久系の2.5、陸上短距離や体操・柔道などは瞬発系の2、球技系の競技などは運動の時間や強度によって異なりますためその中間と考えます。

例)身体活動レベル・・・球技系で、持久力の必要な種目なので2.2程度

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⑤1日のエネルギー必要量の計算

エネルギー必要量(kcal)=基礎代謝量×身体活動レベル

例)1,630(kcal)×2.2=3,586(kcal)

したがって、例のサッカー選手に必要なカロリーはおよそ3,500kcalということになります。

アスリートに必要なご飯の量

アスリートの食事の基本は何といってもエネルギー補給です。普段料理をしない方でも、ご飯の量は自分で調整できると思いますので、目安量を示します。

↓の写真はお茶碗にご飯を軽く盛ったもので、ご飯の量は150gになります。

ごはん茶碗1杯150g

この量で摂取できるエネルギーはおよそ250kcalです。エネルギー補給のためには、1日に必要なエネルギーのおよそ半分をご飯から摂取しましょう。

例えば先ほどのサッカー選手のように、1日3,500kcalのエネルギーが必要であれば、

3,500(kcal)÷2=1,750(kcal)

1,750(kcal)÷250(kcal)=7(杯)

という計算となり、上の写真のご飯であれば7杯分を食べる必要があるということになります。大盛りのご飯を3~4杯分と考えてもよいでしょう。

さらに、持久性競技であれば糖質の必要量はより多めになります。競技種目別の量や、パンや麺類で計算してみたい方は、「アスリートに必要なご飯・炭水化物の量」で詳しく解説していますのでこちらをご参照下さい。

また、食が細くて一度にたくさん食べられない、食べてもなかなか体重が増えないという方は、間食を上手く活用するとよいでしょう。間食の選び方について詳しくは「アスリートの間食の正しい選び方」をご参照下さい。

休日は食事量を減らすべき?

「休日は食べる量を減らした方がいいですか?」という質問をよく受けます。

休養日の摂取カロリーについては、シーズン中の1~2日の休みであればトレーニングする日と同じように食べましょう。

トレーニング日の間にある休日は、疲労の回復や筋肉の「超回復」がおきているときですので、このときに摂取する栄養素量を減らしてしまうのはよくありません。

反対に、オフシーズンで1週間以上の休養をとったり、試合前など長期間にわたって運動の強度を落とす場合には食事量も減らすとよいでしょう。

オフシーズンのときには活動量が一気に落ちるので、いつも通りに食べて体脂肪が増えてしまう選手が多いです。多少は食べすぎてしまっても、シーズンが始まるまでにはもとに戻せる程度に抑えるよう注意しなければなりません。

こまめに体重を測って食事量を評価する

ここまでで解説しました詳細なカロリーの計算方法はどれを用いても、どうしても大まかな目安しか分かりません。

そもそも、その人に必要なカロリーというのは体格や体質によって異なり、同じ人でも日によって体調や運動量などによりバラツキがあります。例えば同じ野球選手でも、公立高校の選手と練習時間の多い私立高校の選手では消費カロリーは大きな差があります。

また自分がとっていた食事が、思っている以上にカロリーが多かった(あるいは少なかった)ということもありますので、完璧に正確に計算することは不可能ともいえます。

だからこそ自分にとって適切な量なのか、こまめに体重・体脂肪率を測定することはとても大切です。

「今日は体重が増えたから、摂取カロリーが多かったんだな」

「今日は体重が減ったから、摂取カロリーが少なかったんだな」

というように測定値の増減で評価を行い、練習ノートなどに記録していくようにしましょう。

まとめ

自分に普段必要な摂取エネルギーが分かりましたでしょうか。

最近では「あすけん」「簡単!栄養andカロリー計算」などカロリー計算ができるウェブサイトやスマホアプリがたくさんありますので、必要なエネルギーに対して自分が1日にどれだけのエネルギーを摂取しているのか計算してみるとよいでしょう。

参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
田口素子・樋口満 編:「体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学」.市村出版,2014.
小林修平・樋口満 編:「アスリートのための栄養・食事ガイド」.第一出版,2001.

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