スポーツ栄養学の基本

【管理栄養士監修】アスリートに必要な主食(ご飯)の摂取量

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アスリートに必要な主食の摂取量

こんにちは!スポーツ栄養士の盛岡です。

体が細いからもっと食べなければと思って、肉や魚のおかずばかり食べていませんか?

「運動後の食事で大切な4つのポイント」でも書いたように、ご飯やパンに含まれる糖質(炭水化物)の摂取は体のエネルギー源になるだけでなく、トレーニングによる筋疲労を回復させたりスタミナや筋力を付けるためにも大切です。

今回は競技種ごとの、アスリート・アマチュアスポーツ選手に必要な糖質の摂取量について解説いたします。

糖質が多く含まれる食品

糖質が多く含まれる食べ物はご存知の通りごはん(お米)、パン、麺類などの主食やお菓子になります。

自分に必要な糖質摂取量を把握するにあたり、どの食品にどれだけ糖質が含まれているのかといった細かい数字を覚える必要はありません。必要な糖質量を料理単位で大まかに把握するために、厚生労働省と農林水産省が策定している「食事バランスガイド」が役に立ちます。

食事バランスガイドとは食事内容を主食・主菜・副菜・乳製品・果物の5つの料理区分に分類して、1日に必要な食事量として「何を」「どれだけ」食べたらよいかを、食品や料理単位で簡単に計算するためのツールです。

食事バランスガイド

食事バランスガイドと各料理区分のアスリートにおける役割についてはこちら

この「どれだけ」の単位として「1つ」「2つ」という数え方をしており、主食においては炭水化物40gごとに「1つ」としています。

<炭水化物と糖質の違い>

体のエネルギー源になる糖質と、体内で消化できない食物繊維を合わせたものを「炭水化物」といいます。米やパンなどの主食に含まれる炭水化物の大部分は糖質と考えてよいでしょう。

例えば、ごはんは茶碗1杯で主食「1.5つ」で、一般的な成人女性は1日に4~5つ分の主食が目安になっています。つまり成人女性の場合はごはん茶碗3杯分(1.5×3=4.5)でちょうどいい、という計算ができます。(ここにお菓子やお酒が加わるとカロリーオーバーになってしまいますが…)

この考え方はスポーツ選手においても応用することができますので、まずは具体的な数え方についてご説明していきます。

主な食品の単位

主な食品の単位は以下のようになっています。詳細な食材の重量と数量(つ)について知りたい方は、農林水産省の「SV早見表」をご参照下さい。

ご飯(米)

ご飯はお茶碗小盛り1杯(100g)で「1つ」と数えます。普通盛りで1.5つ、大盛りで2つ、どんぶりめしで3つになります。おにぎりはコンビニで売られているサイズのもので1つです。

ごはん100gで主食1つごはん150gで主食1.5つごはん200gで主食2つごはん300gで主食3つ

パン

6枚切りの食パン1枚を「1つ」と数えます。ロールパンの場合は2個で主食「1つ」です。バターやジャムを塗る場合にはその分のカロリーに注意しましょう。

食パン1枚で主食1つロールパン2個で主食1つ

カレー・丼もの

カレーや牛丼などの単品料理ではおかずが少ない分、炭水化物量が多く普通盛りでも「2つ」分のごはんはあることが多いです。外食で大盛りを注文すればもちろんそれ以上の量になります。(カレーの場合は肉や野菜も入っていますので、主食に加えて「主菜」が2つ、「副菜」が2つになります。)

カレー1皿で主食2~4つ

麺類

スーパーで市販されているうどんやラーメンは1玉で「1.5つ」になります。ただし外食で出されるめん類は普通盛りで「2つ」の場合が多いです。

うどん1玉で主食1.5つ

アスリートの主食の摂取目安量

必要な主食の量は競技種目によって異なります。マラソンや水泳の長距離などの持久力が要求されるスポーツほど、1日の摂取カロリーに対する主食の割合は多くしなければなりません。

下記の表は競技種ごとの主食の目安量になります。1日のエネルギー量は体重ごとに記載していますが、詳しく計算したい方は「競技別&5分でできるカロリー計算方法」のページを参考にして下さい。

※目安量は週に5日以上の練習をしている高校生以上の方を対象としています。
アマチュアスポーツ選手の目安量はこちらをご参照下さい。
小学生~中学生の目安量はこちらをご参照下さい。

瞬発系競技

野球、陸上短距離、陸上投てき(砲丸投げ、やり投げ、円盤投げ、ハンマー投げ)、陸上跳躍(走り幅跳び、高飛び)、体操、水泳距離、柔道、剣道、ボクシング、スピードスケート、ゴルフ、など

男性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
51~60 2,800~3,200 6~8
61~70 3,200~3,600 7~9
71~80 3,600~4,000 8~10
81~90 4,000~4,400 9~11

女性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
36~40 1,600~2,000 4~5
41~50 2,200~2,400 5~6
51~60 2,600~2,800 6~7
61~70 2,800~3,200 7~8
71~75 3,200~3,600 8~9

筋持久力系競技

サッカー、テニス、バレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントン、陸上中距離、ケイリン、フィギュアスケート、ラグビー、アメフト、ホッケー、カヌー、など

男性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
51~60 2,800~3,200 7~9
61~70 3,200~3,600 8~10
71~80 3,600~4,000 9~11
81~90 4,000~4,400 10~12

女性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
36~40 1,600~2,000 4~6
41~50 2,000~2,400 5~7
51~60 2,400~2,800 6~8
61~70 2,800~3,200 7~9
71~75 3,200~3,600 8~10

持久力系競技

マラソン、ロードバイク、水泳長距離、トライアスロン、ボート、クロスカントリースキー、など

男性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
51~55 3,200~3,600 9~11
56~63 3,600~4,000 11~12
64~70 4,000~4,400 12~13
71~78 4,400~4,800 13~14
79~85 4,800~5,200 14~15
86~90 5,200~5,600 15~16

女性

体重(kg) エネルギー(kcal) 主食量(つ)
36~45 2,400~2,800 7~8
46~55 2,800~3,200 8~9
56~65 3,200~3,600 9~11
66~70 3,600~4,000 11~12
71~75 4,000~4,400 12~13

食事量の配分と間食について

食事量の配分については、朝:昼:夜=3:3:3(または3:3:4)くらいにするとよいでしょう。朝はなかなか食欲が出なかったり、食が細くて3食では食べきれない場合には、間食としておにぎりやパンで補給するのがおすすめです。

間食の選び方や目安量についてはこちら

まとめ

  • 筋力アップや疲労回復のためには主食を食べて糖質を摂取しよう
  • 主な主食の単位を覚えて、概算で自分に必要な主食の量を把握しよう

参考文献

日本栄養士会 監修:「『食事バランスガイド』を活用した栄養教育・食育実践マニュアル」.第一出版,2011.
加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀 編:「スポーツ・運動栄養学」.講談社,2012.

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