身長を伸ばす食事

屋内スポーツの選手はビタミンD不足?|必要な日光浴時間とは

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屋内スポーツ選手はビタミンD不足?屋外スポーツとの比較

こんにちは!管理栄養士の盛岡です。

ビタミンDという栄養素を、普段意識したことはありますでしょうか。肉やごはんはしっかり食べるようにしている方は多いかと思いますが、ビタミンDはあまり意識しない地味(?)な栄養素かもしれません。

しかしビタミンDは体内でのカルシウムの吸収を助けるはたらきがあり、骨の健康に大きく関わっている大切な栄養素です。

そしてビタミンDは、食事から摂取できるだけでなく、皮膚への紫外線照射によっても作られるという特徴があります。このことから、バドミントンや卓球、バスケなどの日光をあまり浴びない競技の人は、体の中でビタミンDが作られにくいということが考えられます。

今回は屋内スポーツと屋外スポーツのアスリートで、ビタミンDの貯蔵量にどのような違いがあるのかを比較した研究についてご紹介いたします。

研究内容

今回参考にしているのは以下の論文です。

Seasonal variations in vitamin D status in indoor and outdoor female athletes.

研究では20~22歳で、屋内スポーツの選手15名と屋外スポーツの選手15名がそれぞれ対象となっています。3月、6月、9月、12月に、それぞれバイオマーカーと骨量について測定しています。

すると血清ビタミンD(25水酸化ビタミンD)の濃度は3月が最も低くなり、9月は最も高い値という結果となりました。またこのビタミンDの変動幅は、屋内スポーツ選手の方が屋外スポーツ選手よりも大きいとなっています。

冬~春はビタミンDが不足しやすい

血清カルシウム濃度についてもビタミンDと同様に3月が最低値・9月が最高値となり、一方で副甲状腺ホルモンについては逆のパターンを示しています。

そして骨量については屋内・屋外選手ともに、6月が最低値となり、12月に最高値となりました。

屋内スポーツのアスリートはビタミンDが不足しやすい

体育館

血清ビタミンDの濃度の基準値は30~100ng/mLとされています(2)

屋外スポーツ選手の血清ビタミンDは問題ないのですが、この研究では屋内スポーツ選手におけるビタミンD濃度は基準値を下回り不足している状態になっています(最低値は19ng/mL前後、最高値でも32ng/mL前後)。

骨量が6月に最も低い値になっているのは、ビタミンDの生成から骨の形成まで時差があるためです。つまり冬の時期に日光を浴びる時間が減ることによって、その影響が3月ごろに血清ビタミンD濃度の低下として現れ、さらに3ヶ月後の6月に低い骨量に反映されているということです。

 

なお副甲状腺ホルモンとはカルシウムを骨から血液中に送り出したり、腎臓や腸から吸収したりして、血液中のカルシウム濃度を上昇させる働きのあるホルモンです。

ビタミンDは副甲状腺ホルモンの分泌を抑えるはたらきがあるため、ビタミンDが不足している状態では逆に分泌が促進されているのだと考えられます。

ビタミンD不足を防ぐには

日光と青空

ビタミンD不足を防ぐには、

①日光で紫外線を浴びる

②食事でビタミンDを摂取する(魚を食べる)

の2点が大切です。順番に説明いたします。

適度な日光浴とは

日光浴といっても、紫外線の浴びすぎは健康上様々な問題につながってしまいます。では適度な日光浴とはどれくらいの時間になるのでしょうか。

その目安としては国立環境研究所の公開している時間を参考にするとよいでしょう。なんとこのホームページでは、地域・季節ごとの必要な紫外線照射の目安時間を細かく示してくれているのです。

ビタミンD生成に必要な紫外線照射時間と人体に有害となる紫外線照射時間 (気候値) >

1日に必要なビタミンDは大人で8.5μgで、このうち10μgを日光浴によって作るとすると、夏場であれば5~10分もあれば十分ということになります。

しかし冬場になると30~40分近く日光を浴びる必要があるとされ、北海道にいたっては250分とされています(!)。これはなかなか現実的ではありませんね。私のいる福井県も冬は曇ってばかりなのですが、日本海側も結構厳しいのではないかと思われます。

魚を食べる

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日に摂取するビタミンDの目安は以下のようになっています。

男性 女性
8~9歳 5.0μg 6.0μg
10~11歳 6.5μg 8.0μg
12~14歳 8.0μg 9.5μg
15~17歳 9.0μg 8.5μg
18~29歳 8.5μg 8.5μg

日頃あまり日光を浴びない環境にいる場合には、意識して多めに食事から摂取するとよいでしょう。

ビタミンDはに多く含まれています。サバ一切れで5μg、鮭一切れで22μgとたっぷりビタミンDをとることができます。

逆にいいますと、魚を食べないとビタミンDは不足しやすいです。きのこにも少し含まれていますが魚ほどではなく、野菜や肉にはほとんど含まれていません。

食品中のビタミンD含有量

ぜひ魚料理をメニューに積極的に入れ、適度な日光浴と合わせて元気な骨をつくりましょう!

まとめ

  • ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける大切な栄養素である。
  • ビタミンDは皮膚への紫外線照射によってもつくられる。
  • 屋内スポーツの選手はビタミンDが不足しやすく、季節ごとの変動幅も屋外スポーツの選手と比べて大きい。
  • ビタミンD不足は骨量の低下にも影響を及ぼす。
  • ビタミンD不足を防ぐには、適度な日光浴と、食事で魚を食べることが大切。

参考文献

1) Maruyama-Nagao, A., Aakuraba, K., Suzuki, Y.: Seasonal variations in vitamin D status in indoor and outdoor female athletes, Biomed. Rep, 5, 113-117 (2016)
2) 岡崎亮:25水酸化ビタミンD測定の意義. モダンメディア, 63 (3), 47-50 (2017)
3) 国立環境研究所:http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/index.html

 

 

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