カルシウムは骨の成長が著しい成長期に特に大切な栄養素となっており、ジュニアアスリートは普通の子供に比べて体を多く動かす分、必要な量が更に増します。
そこで今回は、ジュニアアスリートに嬉しいカルシウムの効果や、必要なカルシウム摂取量について解説いたします。
目次
スポーツ選手に嬉しいカルシウムの効果
効果1:ケガの予防
カルシウムは骨を強くし、ケガなくスポーツを行うために必要不可欠な栄養素です。
マラソンなど、単調な動作を長く続けることにより一定の箇所に負担がかかるスポーツは、カルシウム不足だと疲労骨折を起こしやすくなります。
またサッカーやラグビーなど、体や頭に激しい衝突が起きやすい競技も、骨折のリスクが高まります。
スポーツをしているとケガや骨折の心配はつきものです。だからこそカルシウムをしっかりとって予防することが大切です。
効果2:けいれん予防
カルシウムやマグネシウムなどは、筋肉の神経伝達にも関わっており、不足すると足つりやけいれんなどを起こしやすくなります。
カルシウムとマグネシウムの連係プレーで筋肉は正常に動いているので、これらのミネラルが不足しないように、日常的にとることを心がけましょう。
効果3:身長の伸びをサポート
カルシウムは骨を硬く丈夫にする働きがあります。
直接的に身長を伸ばす栄養素ではありませんが、不足すると骨の成長が阻害されます。ビルで例えるなら骨組みの鉄筋はあるのに、コンクリートが足りなくて伸ばせない状態です。
思春期は急激に身長が伸びる時期。個人差はありますが男子では13歳頃、女子では11歳頃がピークとなります。この成長が著しい時期に、しっかりとカルシウムをとることが大切です。
効果4:大人になってからの骨の健康にも
カルシウムの蓄積スピードは成長期がピークで、20代半ばで骨量が最も多くなります。逆にいえば大人になってからカルシウムをたくさんとっても、強い骨は作れません。
子供のころにしっかりカルシウムをとっておくことで、大人になっても丈夫な骨が維持できます。
骨量が最も蓄積される時期は、男子では13~16歳、女子では11~14歳となり、思春期に最大骨量の約4分の1が蓄積されます。
ジュニアアスリートに必要なカルシウム量
カルシウムは汗で失われてしまう
運動していない子に比べ、汗をかく機会の多いジュニアアスリートにはより多くのカルシウムが必要です。
なぜならカルシウムは運動時、汗からも流れ出てしまうからです。
1リットルの汗で失われるカルシウムは約21~78mg。その他、鉄やカリウムなどのミネラルも同時に失われます。
必要なカルシウム摂取量
汗からも流れ出る分などもふまえ、ジュニアアスリートは1日1,000mg以上カルシウムをとれるよう心がけましょう。
牛乳で換算すると、5~6杯分の量になります。
カルシウムが多い食品
カルシウムといえば牛乳がまず思い浮かびますが、牛乳以外にもカルシウムが豊富な食品はたくさんあります。
1食あたりに含まれるカルシウムの量を一覧にしました。
※出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
煮干しや桜えびなどは少量でもカルシウムを補いやすい食品です。保存がききますので、使いたい時にサッと料理に使えます。
大豆製品はそのまま食卓に出せるものが多いのが利点です。カルシウムのよい補給源になります。
野菜の中でも小松菜、水菜、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜は、カルシウムが豊富に含まれます。
ヨーグルトやチーズは間食にもぴったりで、冷蔵庫に常備しておくと便利です。
また、カルシウムは鮭やさんま、干し椎茸などに多く含まれているビタミンDと一緒にとることで、吸収が促されます。
カルシウムたっぷりの食事作りの目安にしていただけたら幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
参考文献
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
柳沢香絵:「アスリートのためのスポーツ栄養学」.学研プラス,2017.
小林修平・樋口満:「アスリートのための栄養・食事ガイド」.第一出版,2014.
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」