赤ちゃんの成長に欠かせないタンパク質。
不足しないためには、タンパク質をどのくらいとるとよいのでしょうか?
またとりすぎの影響についても知り、適量を守るようにしましょう。
今回は赤ちゃんの1日のタンパク質摂取量の目安ととりすぎによる影響、とりすぎた場合の対策について、管理栄養士が解説します。
目次
赤ちゃんの1日のタンパク質必要量の目安
赤ちゃんの1日のタンパク質摂取量の目安は、時期によって異なります。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」では、下記の量が目安です。
【タンパク質の食事摂取基準(1日あたりの目安量)】
男児 | 女児 | |
0~5ヶ月 | 10g | 10g |
6~8ヶ月 | 15g | 15g |
9~11ヶ月 | 25g | 25g |
これは食材に含まれるタンパク質の量を指しています。
どのくらい食材をとればよいかについては、厚生労働省による「授乳・離乳の支援ガイド」で示されています。
【1回あたりの目安量】
タンパク質食材 | 離乳食初期 生後5~6ヶ月 |
離乳食中期 生後7~8ヶ月 |
離乳食後期 生後9~11ヶ月 |
離乳食完了期 生後12~18ヶ月 |
魚 | ― | 10~15g | 15g | 15~20g |
肉 | ― | 10~15g | 15g | 15~20g |
豆腐 | ― | 30~40g | 45g | 50~55g |
卵 | ― | 卵黄1~全卵1/3個 | 全卵1/2個 | 全卵1/2~2/3個 |
乳製品 | ― | 50~70g | 80g | 100g |
離乳食初期では目安の量は書かれておらず「慣れてきたらつぶした豆腐・白身魚・卵黄等を試してみる」と書かれています。
離乳食初期は、母乳や育児用ミルクからの栄養補給が中心であるため、離乳食は食べることに慣れるのを目的としています。
そのため「タンパク質食材をひとさじずつから始めてみる」こととし、少しずつ食べられるようにしていきましょう。
また離乳食中期以降の目安の量は、1回あたりの量について書かれています。
上記の目安の量を離乳食中期は1~2回、離乳後期は3回を目安にあげる形です。
1回で2種類以上のタンパク質をあげる際は、量を調整するようにしましょう。
赤ちゃんにタンパク質が必要な理由
赤ちゃんにタンパク質が必要なのは、成長に欠かせない栄養素であるからです。
タンパク質は皮膚・筋肉・内臓・髪の毛・ホルモンなど、体を作る材料となります。
成長にたくさん必要とされるため、体重あたりの必要量は、大人より多いほどです。
タンパク質が長期的に不足すると、成長を妨げたり、体力や免疫力の低下を引き起こしたりする恐れがあります。
赤ちゃんの健やかな成長のためにも、離乳食ではタンパク質が不足しないよう、意識して取り入れるようにしましょう。
タンパク質をとりすぎたら?赤ちゃんへの影響
体に必要なタンパク質ですが、反対にとりすぎてしまうと、赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか?
内臓への負担
赤ちゃんの消化器官は未熟なため、タンパク質のとりすぎにより、肝臓や腎臓などの内臓に負担をかけることがあります。
肝臓はタンパク質の代謝物であるアンモニアを分解する内臓であり、腎臓はタンパク質の代謝物である尿素窒素をろ過する内臓です。
タンパク質をたくさんとることで、小さな赤ちゃんの内臓がたくさん働かなければいけなくなるかもしれません。
体重増加
タンパク質のとりすぎにより、赤ちゃんの体重が増えすぎてしまうこともあります。
これは、タンパク質を含む食材は、他の食べ物に比べるとカロリーが高いためです。
例えば5倍がゆは50gで33kcalに対し、鶏ささみは50gで54kcal、鯛は66kcalです。
脂質の多いタンパク質食材を食べられるようになると、カロリーはさらに高くなるため、肉や魚ばかりではカロリーオーバーしてしまいやすいでしょう。
消化への負担
タンパク質を含む食材は消化に時間がかかるため、胃腸の負担となることがあります。
赤ちゃんの消化能力によっては、おう吐や下痢などにつながることもあるかもしれません。
赤ちゃんのタンパク質はどのくらいからがとりすぎ?
タンパク質の上限量は決められていないため、どのくらいの量がNGなのかどうかをはっきりお伝えすることは難しいのですが、先ほど紹介した目安量を大幅に超えて食べているようであれば、とりすぎになっているかもしれません。
例えば下記のパターンはタンパク質のとりすぎになりやすい例です。
・1回の食事で、魚、肉、納豆、ヨーグルトなど複数種類をいっぺんにたくさん与える
・野菜やお粥の量より肉や魚の量が多い
1食で2種類以上のタンパク質を与えるときは、量を調整するようにし、多くなりすぎないように注意しましょう。
またお粥や野菜は少しくらい多くてもOKですが、肉や魚はなるべく1回の量を守れるように、時期による目安量を把握しておきましょう。
とりすぎに気づいたときの対処法
タンパク質のとりすぎに気づいたときは、次の食事から適量を心がけるようにすればOKです。
消化不良によるおう吐や下痢などがなければ、ひとまず様子を見て問題ないでしょう。
1食の量が少し超えたからといって、すぐに問題が出るわけではありません。
また、先ほど紹介した1回あたりの目安の量は、毎回きっちり守る必要があるわけではなく、1日や前後の日で調整すれば大丈夫です。
もし赤ちゃんがタンパク質食材をたくさん欲しがる場合は、なるべく用意した量だけをあげるようにして、お粥や野菜の方を食べさせるようにしましょう。
赤ちゃんのタンパク質摂取量の目安を知って、離乳食をスムーズに!
赤ちゃんのタンパク質が多くなったり少なくなったりしないよう、おおよその目安を把握して離乳食を準備しましょう。
とはいえ、思うようにタンパク質食材が進まなくても、すぐに栄養不足になるわけではないので、焦らずにゆっくり進めていってくださいね。
食べられるものが少しでも増えるよう、タンパク質食材に少しずつチャレンジしていきましょう!
参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」