筋肉をつける食事

【管理栄養士監修】プロテインの過剰摂取で発生する5つの弊害

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たんぱく質の過剰摂取

こんにちは!スポーツ栄養士の盛岡です。

アスリートにとってプロテイン(たんぱく質)の摂取は大切ですが、飲めば飲むほどよいと考えていませんか?

どんな栄養素にも「適量」があり、過剰摂取には十分注意しなければなりません。今回はたんぱく質の摂り過ぎの弊害と、どれだけの量を摂るといけないのかについてご説明いたします。

プロテインの過剰摂取で起こる症状

たんぱく質はとればとるほど筋肉がつくというわけではありません。余分に摂取したたんぱく質はエネルギーとして利用され、エネルギーも十分にある場合には脂肪として蓄積されたり、体外に排出されたりしてしまいます。そして、この体外にたんぱく質が排出される際に、体内のカルシウムも一緒に排出されてしまうという悪影響もあるのです。

余計な脂肪がついてしまうのがよくないのはもちろんですが、骨折などの予防のためにもカルシウムの排出は避けなければなりません。

「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」の策定検討会報告書においても、絶対値としての上限量は定められていませんが、食事中のたんぱく質エネルギー比率が20%を超えた場合の健康障害として、糖尿病・心血管疾患・がんの発症リスクの増加、骨量の減少、BMIの増加などが挙げられています。(通常の食事であれば15%程度)

たんぱく質の過剰摂取

たんぱく質は1gあたりおよそ4kcalなので、例えば1日3,000kcalの食事をとる場合、20%のときの量は次のように計算できます。

3,000kcal×20(%)÷100÷4=150g

「食事だけで補うのは無理」と言うけれど…

他のウェブサイトではたんぱく質は体重1kgあたり2~3gが必要と書かれているときがありますが、それほど多くをとる必要はありません。その理由として、日常的にトレーニングに取り組んでいるスポーツ選手はたんぱく質の分解で放出されるアミノ酸を効率的に再利用する能力が高く、筋肉の維持に必要なたんぱく質量が低下するためです。

「アスリートに必要なたんぱく質の摂取量」の記事に、食品に含まれるたんぱく質の量を書きましたが、ごはんなど主食にもたんぱく質は含まれていて、例えば3杯分のごはんだけで12~15gほど摂取でき、主菜のおかずだけでなく副菜のおかずにも卵や豆腐があると意外と推奨量を超えて摂取していたりします。

特に外食やコンビニ弁当だったら野菜が少なく、肉やごはんが中心になるため1食で30~40gとれるものが多いです。また私が今までカウンセリングしてきた経験では、あまりスポーツをしていない方でも普段から70~80gくらい摂取している方は多くいます。

普段のたんぱく質摂取量

普通に食事をしているだけならなかなか過剰摂取にまではなりませんが、外食ばかりの食生活やプロテインを利用しているといつの間にか摂り過ぎになっているときがあります。食事量が少ないときや運動直後の回復にはプロテインの摂取はいいのですが、利用するにあたってはパッケージに記載された量を守り、可能であれば医師や栄養士に相談するのがベストです。

まとめ

  • たんぱく質をとればとるほど筋肉がつくわけではない。
  • 過剰摂取は脂肪の蓄積やカルシウムの排泄につながるので注意しよう。

参考文献

菱田明・佐々木敏 監修:「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」.第一出版,2014.
加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀 編:「スポーツ・運動栄養学」.講談社,2012.
小林修平・樋口満 編:「アスリートのための栄養・食事ガイド」.第一出版,2001.

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