こんにちは!スポーツ栄養士の盛岡です。
果物はビタミンCやカリウム、ポリフェノールなどの供給源となり、アスリートは栄養補給のために積極的にとりたい食品群です。
もし食後のデザートやお昼のおやつで毎日のように甘いお菓子を食べているなら、ぜひ果物にかえましょう。果物は脂肪分がほとんど含まれておらず、また果物の糖分である果糖は砂糖よりも血糖値が上がりにくく、太りにくい糖分です。
それでは今回はアスリートやアマチュアスポーツ選手にとって必要な果物の量と、1日に必要な摂取量についてご説明いたします。
目次
食事バランスガイドを活用しよう
果物に含まれている栄養素の含有量は、みかんやりんごなど種類によって違ってきます。
しかし必要な栄養素量を把握するために、一つ一つの果物の栄養素をチェックしたり、重さを測ったりするのは大変です。そこで必要な栄養素量を大まかに計算するために、厚生労働省と農林水産省が策定している「食事バランスガイド」が役に立ちます。
食事バランスガイドとは食事内容を主食・副菜・副菜・乳製品・果物の5つの料理区分に分類して、1日に必要な食事量として「何を」「どれだけ」食べたらよいかを、食品や料理単位で簡単に計算するためのツールです。
食事バランスガイドと各料理区分のアスリートにおける役割についてはこちら
この「どれだけ」の単位は、果物は100gを基準として「1つ」「2つ」という数え方をしています。例えばみかん1個は「1つ」と数え、一般的な成人男性は1日に2つ分の果物の摂取が目安に定められています。したがって成人男性の場合はみかんで換算すれば1日に2個を食べる必要がある、ということになります。
このツールはスポーツ選手にも応用することができますので、まずは具体的な数え方についてご説明していきます。
果物の数え方
果物の数量(つ)は下記の写真のようになります。詳細な食材の重量と料理区分の数量(つ)について知りたい方は、農林水産省の「SV早見表」をご参照下さい。
みかん
みかんは1個で「1つ」です。同じ柑橘類のオレンジやグレープフルーツも、ビタミンCを豊富に含んでいるのでおすすめです。
りんご
りんごはまるまる1個で「2つ」です。
キウイ
キウイは1個で「1つ」です。
バナナ
バナナは1本で「1つ」です。
スイカ
スイカは厳密には野菜に分類される食品ですが、食後のデザートとして食べる場合が多いため食事バランスガイドにおいては「果物」として考えるとよいでしょう。写真のサイズのスイカ1切れで「1つ」です。
いちご
いちごは5個で「1つ」です。
アスリートの果物の摂取目安量
必要な副菜の量は競技種目によって異なります。下記は競技種ごとの果物の目安量(1日分)になります。1日のエネルギー量は体重ごとに記載していますが、細かく計算したい方は「競技別&5分でできるカロリー計算方法」のページを参考にして下さい。
※目安量は週に5日以上の練習をしている高校生以上の方を対象としています。
・アマチュアスポーツ選手の目安量はこちらをご参照下さい。
・小学生~中学生の目安量はこちらをご参照下さい。
瞬発系競技
野球、陸上短距離、陸上投てき(砲丸投げ、やり投げ、円盤投げ、ハンマー投げ)、陸上跳躍(走り幅跳び、高飛び)、体操、水泳距離、柔道、剣道、ボクシング、スピードスケート、ゴルフ、など
男性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
51~60 | 2,800~3,200 | 2~3 |
61~70 | 3,200~3,600 | 2~3 |
71~80 | 3,600~4,000 | 2~3 |
81~90 | 4,000~4,400 | 3~4 |
女性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
36~40 | 1,600~2,000 | 2 |
41~50 | 2,200~2,400 | 2 |
51~60 | 2,600~2,800 | 2~3 |
61~70 | 2,800~3,200 | 2~3 |
71~75 | 3,200~3,600 | 2~3 |
筋持久力系競技
サッカー、テニス、バレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントン、陸上中距離、ケイリン、フィギュアスケート、ラグビー、アメフト、ホッケー、カヌー、など
男性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
51~60 | 2,800~3,200 | 2~3 |
61~70 | 3,200~3,600 | 2~3 |
71~80 | 3,600~4,000 | 2~3 |
81~90 | 4,000~4,400 | 3~4 |
女性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
36~40 | 1,600~2,000 | 2 |
41~50 | 2,000~2,400 | 2 |
51~60 | 2,400~2,800 | 2~3 |
61~70 | 2,800~3,200 | 2~3 |
71~75 | 3,200~3,600 | 2~3 |
持久力系競技
マラソン、ロードバイク、水泳長距離、トライアスロン、ボート、クロスカントリースキー、など
男性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
51~55 | 3,200~3,600 | 2~3 |
56~63 | 3,600~4,000 | 2~3 |
64~70 | 4,000~4,400 | 3~4 |
71~78 | 4,400~4,800 | 3~4 |
79~85 | 4,800~5,200 | 3~4 |
86~90 | 5,200~5,600 | 3~4 |
女性
体重(kg) | エネルギー(kcal) | 目安量(つ) |
36~45 | 2,400~2,800 | 2~3 |
46~55 | 2,800~3,200 | 2~3 |
56~65 | 3,200~3,600 | 2~3 |
66~70 | 3,600~4,000 | 2~3 |
71~75 | 4,000~4,400 | 3~4 |
フルーツジュースは飲んでもいいの?
果汁のあまり含まれていないジュースは栄養価が低いため、嗜好飲料と考え「果物」としてはカウントしません。基本的に控えるようにしましょう。
なお、果汁100%のジュースであれば、コップ1杯分(200cc)で「1つ」と数えます。ただ、果汁100%だとしても果物や野菜に比べてビタミンや食物繊維の量は少なく、カロリーのとり過ぎになりやすいので注意しましょう。たくさんの量のジュースを飲んだから1日分の果物の量を満たしたと考え、その他に果物をとらなくなることは避けて下さい。
まとめ
- 適切な量の果物をとってビタミンCやミネラルを補給しよう
- 主な果物の数量(つ)を覚えて、概算で自分に必要な量を把握しよう
- 果汁の少ないジュースは避けるようにしよう
参考文献
日本栄養士会 監修:「『食事バランスガイド』を活用した栄養教育・食育実践マニュアル」.第一出版,2011.
加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀 編:「スポーツ・運動栄養学」.講談社,2012.