アスリートの食事メニュー

【管理栄養士監修】アスリートの食事メニューで抑えるべき5つの基本

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勝つための食トレ5ヶ条

こんにちは!スポーツ栄養士の盛岡です。

「何を食べればもっと筋肉がつきますか?」「速く走るには何を食べたらいいですか?」

仕事がら私はスポーツ選手に限らずよくこのような質問を受けます。

選手はどうも「このサプリさえ飲めばいい」といった「即効性のある特定の何か」を期待しているのですが、残念ながら「これさえ食べればすべての栄養が補える」といった魔法のような食品はありません。

「アスリートにとっての食事の持つ4つの役割」で述べましたように、アスリートが高いパフォーマンスを発揮するためには筋肉の材料になるたんぱく質だけでなく、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルといった五大栄養素をバランスよく補給する必要があります。

スポーツにおける栄養の役割

今回はアスリートの食事メニューを考える上で大切になる、5つのポイントについてご説明いたします。

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栄養フルコース型の食事をとろう

「栄養フルコース型の食事」とは、体づくりに必要な炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを全て補給できる食事のことです。

栄養フルコース型の食事は、次の5つの料理のそろったメニューが基本となります。

○主食…ごはん、パン、麺、シリアル など

○主菜…肉・魚・卵・大豆製品のおかず

○副菜…野菜・海藻・イモ類のおかず

○乳製品…牛乳・ヨーグルト・チーズ など

○果物…みかん・りんご・バナナ など

主食・主菜・副菜・乳製品・果物の5つがそろった、栄養フルコース型の食事

上の写真は主食・主菜・副菜・牛乳・果物の5つがそろったメニュー例です。

主食のごはんからは糖質、主菜のひき肉の炒め物からはたんぱく質やビタミンB群、副菜のきんぴらや中華スープからはビタミンAや食物繊維など、牛乳からはカルシウム、果物のりんごからはカリウムやポリフェノール、をそれぞれ摂取することができます。

写真の量ではカロリーは1,089kcalで、たんぱく質は36.9g。朝昼晩の3食と補食を組み合わせれば、十分に栄養素を摂取することができます。詳しいレシピはこちら ›

このように5つのメニューをそろえるだけで、栄養バランスは自然とある程度整えられます。

まずはごはん+一汁二菜のおかず+牛乳+果物のセットを意識してそろえるようにしましょう。

食事バランスガイドを活用しよう

食事メニューをバランスよくそろえることと同じくらい大事なことは、どれくらいの量を食べるかということです。

アスリートの食事にごはんは必要ですが、いくらでも食べていいわけではありませんし、少しの量では十分なエネルギー補給になりません。これは主菜や副菜でも同様です。

とはいえ毎回の食事で「たんぱく質やビタミンを何グラムとるために、肉は何グラム食べて…ニンジンは何グラム食べて…」といったように考えるのは現実的ではありません。

そこで栄養フルコース型の食事をとるために、厚生労働省が公表している「食事バランスガイド」が役に立ちます。

「食事バランスガイド」とは、1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いかを、コマをイメージしたイラストで示したメニュー作成ツールです。下のイラストを一度は見たことがあるのではないでしょうか。

食事バランスガイド

このツールの特徴は、必要な栄養素をとるための食事量を栄養素単位や食材単位で表すのではなく、主食・主菜・副菜・果物・乳製品と、先ほどご説明した5つの区分で表しているところです。

食事バランスガイドを活用する主なメリットとして、以下が挙げられます。

食べる側のメリット

  • 食卓、外食、惣菜など、食べるときに見ている状態のもので示されているので、誰でも自分とのつながりでとらえられる。
  • 一部の市販品や食堂・レストランで表示されており、食事量の参考にすることができる。
  • 1回の食事で食べる量を、料理区分別の標準的な量と比較することにより、適量かどうかをおおよそ把握できる。

つくる側のメリット

  • 1つの料理の提供量を、料理区分別の標準的な量と比較することにより、適切な量の提供ができる。
  • 食材の細かい部分の違いは無視して使うことができるので、手持ちの食材に対応した献立作成が簡単にできる。

この食事バランスガイドはもともとは一般の人向けに作られているものですが、競技パフォーマンスを上げたいアスリートにも応用することができます。

まずは活用にあたって、5つの料理区分の体づくりにおける役割について学んでいきましょう。

アスリートの食事メニューにおける基本

基本①主食を食べてエネルギー補給をする

主食はエネルギー源や疲労回復に役立つ

ごはんやパン、麺類、お好み焼きなどの「主食」は主に炭水化物(糖質)の供給源となり、日常生活や運動を行うためのエネルギー源となります。

主食の量が少ないと、競技の後半でバテてしまったり、疲労感の原因となってしまいます。また、糖質は脳にとっての重要なエネルギー源でもありますので、糖質不足はトレーニング時の集中力低下にもつながってしまいます。

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最近では糖質オフダイエットが流行していますが、トレーニングによる筋肉疲労の回復には、たんぱく質と糖質の同時摂取が大切です。むやみに糖質を制限しすぎると、アスリートの競技力の基礎である体力・筋力の低下を招いてしまいますので注意が必要です。

マラソンやサッカーなどの運動量が多い競技の場合は、糖質の消費量が多いので特にしっかり食べるようにしましょう。

具体的な量の計算方法ついては「スタミナが足りないなら主食をとろう!アスリートに必要な糖質摂取量」をご参照下さい。

基本②副菜を食べてコンディショニング

副菜はコンディショニングに役立つ

サラダや煮物など、野菜・いも・豆類・きのこ・海藻を主材料とする「副菜」は、主にビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源となります。

ビタミンやミネラルは免疫力アップや貧血予防、便秘予防など様々なコンディショニングに関わっており、アスリートのコンディショニングに欠かせない栄養素です。

アスリートはオーバートレーニングが原因で免疫が落ちることが多く、また持久系競技では鉄分の消費が激しく貧血になりやすいため、一般の人以上に多く食べなければなりません。

コマのイラストでも副菜は主菜よりも上の段にあるように、副菜のおかずは主菜のおかず以上にたくさん食べる必要があります。1食の中に副菜のおかずは2品は入れるとよいでしょう。

具体的な量の計算方法については「ケガや風邪の予防に!アスリートに必要な野菜や海藻の摂取量」をご参照下さい。

基本③主菜を食べて筋肉をつける

主菜は筋力アップに役立つ

肉、魚、卵、大豆製品などを主材料とする「主菜」は、主にたんぱく質の供給源となり、トレーニングの疲労を回復させ筋肉を作る働きがあります。また、主菜に使われる食品の多くはビタミンB群も多く含んでおり、糖質やたんぱく質、脂質を体の中で代謝してエネルギーに変えることにも役立ちます。

ポイントは毎食きちんと主菜のメニューを取り入れて、たんぱく質を摂取することです。

例えば朝食をごはんやパンだけですませていませんか?昼食はラーメンで、肉や卵などの食材が入っていないなんてことありませんか?

体の筋肉は常に合成と分解の両方を繰り返していますので、たんぱく質が不足していると分解の方ばかりが進んでしまいます。

それを防ぐためにも、朝食では卵や納豆、ウインナーなどたんぱく質源となる食品を取り入れるようにしましょう。またラーメンやチャーハンなどの単品料理では、具材に肉や魚も必ず使うようにしましょう。

アスリートの体づくりにはたんぱく質を含む主菜を食べることが欠かせません。ただ一方で、脂肪分を多く含む食べ物もありますので、量だけでなく質にも注意しなければなりません。

具体的な量の計算方法については「アスリートが筋肉を付けるために必要な5つの食べ物と食事量」をご参照下さい。

基本④牛乳・乳製品をとって骨づくり

牛乳・乳製品はケガ予防や筋力アップに役立つ

牛乳やヨーグルト、チーズなどの「牛乳・乳製品」は、主にカルシウムの供給源となります。

カルシウムは強い骨の形成に必要で、成長期には身長を伸ばすことや、ケガを予防するために欠かせない栄養素です。

カルシウムは吸収のされづらい栄養素なのですが、牛乳・乳製品のカルシウム吸収率は40%で、小魚(33%)や野菜(19%)と比べて優れています。これは、牛乳に含まれている乳糖やCPP(カゼインホスホペプチド)といった成分が、カルシウムの吸収を助ける働きがあるためと考えられています。

また、肉や魚と同じレベルの良質なたんぱく質も含んでいますので、筋力を付けるためにもアスリートは積極的にとりたい食品です。成長期であれば牛乳は朝・昼・晩の毎食とってもよいでしょう。

具体的な量の計算方法については「丈夫な体づくりに!アスリートに必要な牛乳・乳製品の摂取量」をご参照下さい。

基本⑤果物を食べてコンディショニング

果物は風邪予防やエネルギー源として役立つ

みかんやバナナ、リンゴなどの「果物」は、主に糖質やビタミンC・カリウムの供給源となります。

激しいトレーニングを行うアスリートは、大量の酸素を摂取することから体内の細胞が酸化されやすく、障害を起こす可能性が指摘されています。この酸化ストレスから体を守ってくれるのがみかんに含まれるビタミンCやりんごに含まれるポリフェノールです。

野菜の中ではピーマン、ブロッコリー、キャベツなどに多く含まれていますが、熱に弱いビタミンCは加熱調理をすると壊れてしまいます。一方、果物は生で食べることが多く、効率的にビタミンCを摂取することができますので、最低でも1日1回は果物を食べる習慣をつけましょう。

またカリウムは高血圧を予防する働きがよく知られていますが、筋肉の収縮や神経伝達にも関わっており、長時間の運動で汗から排出されてしまうと、足がつる原因になるといわれています。

なお、マラソン大会などではよくバナナが出されますが、これはビタミンの補給というよりも糖質の補給の目的で出されることが多いです。バナナは消化されやすく素早く体のエネルギーとなるため、マラソンレース中や試合前の補食としても活躍します。

具体的な量の計算方法については「毎日食べて免疫力アップ!アスリートに必要な果物の摂取量」をご参照下さい。

料理をしない人でもできることはある

今回はそれぞれの料理区分で、アスリートにとってどのような働きがあるかについてご説明いたしました。冒頭で「魔法の食品はない」と申し上げましたが、バランスのよい栄養をとり続ければ、日々の努力が最大化する「食事の魔法」はきっと体感してもらえると思います。

食品に含まれている栄養素は様々ですが、ご説明しました5つの基本を守ることによって、必要な栄養素がバランスよくとれるようになります。

普段料理をしない方も、朝食を必ず食べるようにしたり、牛乳や果物を毎日とるようにするだけでも、栄養バランスは格段によくなりますので、ぜひ実践してみて下さいね。

まとめ

  • アスリートの食事の基本は、主食・主菜・副菜・乳製品・果物の5つがそろった「栄養フルコース型」のメニューである
  • 主食は炭水化物(糖質)の供給源となり、運動時のエネルギー源となる
  • 主菜はたんぱく質やビタミンB群の供給源となり、体の筋肉などを作る
  • 副菜はビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源となり、ケガや貧血予防などに役立つ
  • 乳製品はカルシウムやたんぱく質の供給源となり、ケガ予防や体づくりに役立つ
  • 果物はビタミンCや糖質の供給源となり、免疫力アップや運動時のエネルギー源として役立つ
  • 各料理区分の必要な量を計算するには「食事バランスガイド」を活用するとよい

参考文献

林淳三:「改訂 基礎栄養学」.建帛社,2010.
日本栄養士会 監修:「『食事バランスガイド』を活用した栄養教育・食育実践マニュアル」.第一出版,2011.
田口素子・樋口満 編:「体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学」.市村出版,2014.
牛乳・野菜・魚カルシウムの吸収率の比較試験:http://www.j-milk.jp/kenko/seicho/8d863s000000qhle.html

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