スポーツ性貧血の対策

スポーツ貧血予防に役立つ鉄分サプリメントの選び方とおすすめ

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スポーツ選手の鉄分補給におすすめのサプリメント特集

こんにちは。スポーツ栄養士の盛岡です。

前回の「スポーツ性貧血の治療と食事での対策」では、アスリートや激しい運動をしているマラソン選手などは鉄分を1日15~18mg摂取する必要があるとお伝えいたしました。

1日15~18mgといいますと鉄分の多い食材をしっかり意識して選んで、かつ十分な量を食べる必要があります。しかし、毎日それだけの量を摂取するのは大変ですし、減量中で食事量を減らしていたり遠征先であったりすると、鉄分が十分に入った食事をとりづらい場合もございます。

そういった鉄分の豊富な食事を準備することが難しいときには、補助的にサプリメントを利用することも大切です。

今回はアスリートの鉄分不足を補うためのサプリメントの選び方についてご説明し、おすすめの鉄分サプリもご紹介いたします。

鉄分サプリメントの選び方

非ヘム鉄よりもヘム鉄がベター

鉄分には吸収率の高い(15~35%)ヘム鉄と、吸収率の低い(2~5%)非ヘム鉄の2種類があります。

非ヘム鉄は吸収が悪い上に、お茶やコーヒーに含まれているタンニンなどによって吸収が阻害されますので注意が必要です。

一方ヘム鉄は吸収性がよい上に、胃腸障害を起こすリスクも低いとされており、体の負担も少なくてすみます。

したがって鉄分サプリを選ぶ際は、ヘム鉄を選んだ方がベターです。

非ヘム鉄は摂取しても意味がないわけではありませんが、やはりせっかくとるなら吸収のよいものを選びたいですよね。Amazonでは大塚製薬の「ネイチャーメイド 鉄(アイアン)」が人気ですが、大塚製薬に問い合わせたところ、この商品は非ヘム鉄だそうです。

一概にはいえませんが、「鉄」とだけ書かれてあるサプリは非ヘム鉄のものも多いと思いますので、きちんとパッケージに「ヘム鉄」と書かれてあるものを選ぶようにしましょう。

上限量を超えないように注意する

鉄分の吸収を行う腸にある鉄輸送たんぱく質や酵素は、3~4日ごとに代謝されているため、一度に大量に摂取してその後は飲まないといったような飲み方ではすぐにまた鉄分が不足してしまいます。

また、鉄分の過剰摂取は嘔吐や下痢・胃の損傷などの中毒症状を起こす危険性があります。1日の上限量は男性50mg、女性40mgを目安にし、摂りすぎには注意して下さい。子供では上限量が少し異なりますので、下記の表を参考にして下さい。

鉄分の耐用上限量
年齢 男性 女性
8~11歳 35mg 35mg
12~14歳 50mg 50mg
15~29歳 50mg 40mg

※日本人の食事摂取基準(2015年版)より

スポーツ選手の場合ですと、プロテインなどにも鉄分が含まれている可能性があります。1つ1つは上限量を超えなくても、複数を合わせてとると上限を超えてしまう場合がありますので、予め確認し注意しておきましょう。

ビタミンCやビタミンB群

ビタミンCは非ヘム鉄と結合して吸収率を高める効果があります。ヘム鉄であれば関係はないのですが、食事で摂取する鉄分の吸収をよくする意味で、ビタミンCが含まれているとなおよいでしょう。

また、ビタミンB6やビタミンB12・葉酸は赤血球の合成に役立つ栄養素です。これらは普段の食事で不足することはなかなかないので入ってなくてもよいのですが、動物性食品をあまりとらないベジタリアンの方には必要になることがあります。

食品由来の原料がいい?

「食品由来のサプリの方が、吸収がよく安全性も高い」、こういった文言は鉄分サプリに限らずよくみられるのですが、

天然由来の方が吸収がされやすいとか、安全性が高いという根拠はありません。

由来原料が天然・自然であることが、その製品の有効性・安全性を証明するものではありません。また天然由来の原料にもデメリットはあり、健康食品や栄養療法についての各種情報提供を行っている国立健康・栄養研究所は次のように述べています。

●アレルギーの原因になりやすい。
●産地、収穫時期、天候などによって品質が一定しない傾向がある。
●正体がはっきりしている含有成分は少量で、その他の成分のほとんどは正体不明である場合が一般的。
●有害物質・不純物が取り除かれていない可能性がある
●天然由来品が、合成品よりも品質・安全性が上回っているというエビデンス(科学的根拠)はない

国立健康・栄養研究所:「サプリメントクイズ」より

食品由来が必ずしも悪いわけではありませんが、表示を見る際には「鉄分の多い○○(食品名)エキスが何グラム入っている」という文言ではなく、「鉄分が」どれだけ含まれているのかよく確認して下さい。

おすすめの鉄分サプリメント

以上のポイントから、鉄分補給におすすめのサプリメントをご紹介いたします。参考価格はAmazonや公式サイトをもとに記載しています。

ディアナチュラ ヘム鉄

参考価格 592円
鉄分の種類 ヘム鉄
鉄分の量(1日) 3.0mg
内容量 30粒(30日分)
ビタミンC ×
ビタミンB6 ×
ビタミンB12
葉酸

パッケージには150mgと書かれてあり紛らわしいのですが、原料として150mg使用という意味で、実際に配合されている鉄分としては3.0mgの量になります。カプセルではないため、賦形剤(※ふけいざい:粒を固めるための添加物)をその分多めに使う必要があるのです。

しかし吸収のよいヘム鉄が使われており、「サポートビタミン」として赤血球の合成に役立つビタミンB12と葉酸も配合されています。原産国が日本と明記してある点も安心ですね。

DHC ヘム鉄

参考価格 800円
鉄分の種類 ヘム鉄
鉄分の量(1日) 10.0mg
内容量 120粒(60日分)
ビタミンC ×
ビタミンB6 ×
ビタミンB12
葉酸

ヘム鉄が1日10mg摂取できて、1袋に60日分。量が多くて圧倒的に安いのがDHCの鉄分サプリです。こちらはカプセルタイプで、ビタミンB12と葉酸も含まれています。

オリヒロ チュアブルミネラル 鉄分

参考価格 980円
鉄分の種類 非ヘム鉄
鉄分の量(1日) 10.0mg
内容量 180粒(90日分)
ビタミンC
ビタミンB6
ビタミンB12
葉酸 ×

こちらは非ヘム鉄になりますが、噛んで食べれるチュアブルタイプになります。普通の鉄分サプリは匂いなどが気になるという方におすすめです。味が美味しいと継続しやすいというメリットもありそうですね。

ただし、食べられるレベルに味が美味しいということは、その分甘味料や香料などの添加物も使っているということになります。その点を気にする方は避けて下さい。

まとめ

  • 鉄分サプリは、吸収がよく体の負担も少ないヘム鉄を選ぶ
  • 鉄分の摂りすぎは中毒症状を起こす危険性があるので、男性50mg、女性40mgの上限を超えないようにする
  • 非ヘム鉄の吸収を高めるビタミンCが含まれていると、食事の鉄分の吸収もよくなるためなおよい
  • ビタミンB群はあまり不足しないが、動物性食品をあまり食べない方はそれらが含まれているものを選ぶとよい
  • 天然・食品由来の原料は、製品の有効性や安全性の高さを保証するわけではない
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