こんにちは。管理栄養士の盛岡です。
健康やスポーツ選手の体づくりには、基本的に低脂肪な赤身の多い肉がいいのですが、アスリートの体づくりにはビタミンやミネラルといったその他の栄養素も大切です。
そこで今回は牛肉・豚肉・鶏肉といった肉の種類ごとに、栄養価にどのような違いがあるのか比較し解説いたします。
タンパク質はどれも良質なもの
まずタンパク質については、どれも「良質なタンパク質」です。
タンパク質の「質」を評価する指標としては「アミノ酸スコア」というものがあり、このスコアが高いほど必須アミノ酸を多く含んでいて質が高いということになります。
牛肉・豚肉・鶏肉のアミノ酸スコアはいずれも満点の100となっていて、質のよいタンパク質であるといえます。
※必須アミノ酸…体の中で合成できず、食べ物から摂取しなければならないアミノ酸のこと。
関連記事:良質なタンパク質とは?どんな食品に多い?
肉ごとの栄養価を比較
そのほかの栄養価についても比較してみます。
わかりやすくなるように、どれも100gあたりのモモ肉の部位で比較しました。
食品成分 | 牛肉 | 豚肉 | 鶏肉 (皮つき) |
鶏肉 (皮なし) |
エネルギー(kcal) | 148 | 171 | 234 | 128 |
たんぱく質(g) | 19.6 | 20.5 | 17.3 | 22 |
脂質(g) | 8.6 | 10.2 | 19.1 | 4.8 |
炭水化物(g) | 0.4 | 0.2 | 0 | 0 |
食塩相当量(g) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
カルシウム(mg) | 3 | 4 | 8 | 9 |
鉄(mg) | 2.4 | 0.7 | 0.9 | 2.1 |
亜鉛(mg) | 3.8 | 2 | 1.7 | 2.3 |
ビタミンA(μg) | 5 | 4 | 47 | 17 |
ビタミンB1(mg) | 0.08 | 0.9 | 0.07 | 0.1 |
ビタミンB2(mg) | 0.19 | 0.21 | 0.23 | 0.31 |
ビタミンB6(mg) | 0.44 | 0.31 | 0.17 | 0.22 |
ビタミンB12(μg) | 1.5 | 0.3 | 0.5 | 0.6 |
葉酸(μg) | 8 | 2 | 6 | 7 |
ビタミンC(mg) | 1 | 1 | 1 | 1 |
ビタミンD(μg) | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0 |
ビタミンE(mg) | 0.5 | 0.3 | 0.1 | 0.1 |
モモ肉はどれも脂肪分の少ない部位ですが、特に鶏肉については「皮なし」だととても低脂肪・高タンパク質になります。
カロリーを抑えてタンパク質をとることだけを考えれば、鶏肉(皮なし)が一番低脂肪でよいかもしれませんが、牛肉・豚肉には鶏肉に含まれていない栄養素があります。
豚肉には糖質代謝と疲労回復効果のあるビタミンB1、牛肉には成長ホルモンの合成に必要な亜鉛や、貧血予防に役立つヘム鉄が豊富であることが分かります。
鉄分は赤血球のヘモグロビンをつくるのに必要な栄養素で、不足して貧血になると体力の低下にもつながります。
色々な食品からバランスよく栄養を
スポーツのパフォーマンスを上げることが目的であれば、組み合わせて様々な栄養素をとることが大切です。
基本的には偏ることなくメニューに取り入れる方が、栄養バランスが整ってよいですが、減量時は鶏肉を増やしてみたり、女性や持久系スポーツ選手であればヘム鉄がとれる牛肉を意識してとるのもよいでしょう。
ぜひ目的に併せてメニューに取り入れてみてください。
参考文献
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」