こんにちは!管理栄養士の盛岡です。
プロテインを飲んでいる方の中には「背を伸ばすために栄養をとりたい」という目的の方もいると思いますが、タイミングとしてはいつ飲むのが適切なのでしょうか。
身長は寝ている間によく伸びるので、なんとなく寝る前に飲むのはよさそうな気もしますよね。
そこで今回は寝る前のプロテイン摂取と身長の関係について解説いたします!
就寝中に多く分泌される成長ホルモン
「身長が伸びる」というのはつまり、骨が伸びるということ。
骨を固めるのがカルシウムで、骨が伸びるためには、成長ホルモンの分泌や骨の軟骨を伸ばすことに関わっているタンパク質が必要になります。
就寝中には成長ホルモンが多く出ることから、寝る前にプロテインをとることで摂取したタンパク質が効果的に活用され、疲労が回復しやすい、増量しやすい、身長が伸びやすいなどいわれることがあります。
しかし寝る前のタンパク質補給による効果については、いずれの効果も今のところ十分な科学的根拠・データがありません。
反対にいうと身長が伸びないというデータもないのですが、寝る前のプロテイン摂取にはデメリットもあります。
寝る前のプロテインはデメリットも
寝る前の補給には以下のデメリットがあります。
睡眠の質が落ちる
タンパク質は消化に時間がかかる栄養素です。寝る前にとることで就寝中も胃腸が休まらず、睡眠の質が下がってしまいます。
身長を伸ばすためには栄養だけでなく睡眠も重要です。睡眠の質が落ちるということは体の成長においてはマイナスといえるでしょう。
肥満につながりやすい
夜間の栄養補給は摂取したエネルギーを消費しにくいことと、夜20時以降の食事は血糖値が上がりやすい(※1)ことから、肥満につながりやすいです。
増量したい方にとっても、体脂肪で増やしたいと考えている方は少ないと思います。身長とは関係ないですがこうしたデメリットがあることも念頭に置くとよいでしょう。
こうしたことから夕食は寝る3時間前までにとるとよいとされています。
ではいつ飲むといいのか
タンパク質は一度に多く吸収できない(※2)という特性があります。そこで不足しやすい朝食時や、間食の代わりとして補助的にとるのがおすすめです。
タンパク質は体温を上げる効果があるので、朝にタンパク質をとることで1日を活動的に過ごす上でも役立ちます。
また運動直後は筋肉の分解と合成の速度が上がっているため、運動後にタンパク質をとると分解を抑え、合成をより促進できることが分かっています。
このことから運動後できるだけ早いタイミングでとるのも、筋肉の疲労回復や体づくりという観点では効果的です(※3)。
プロテインをとるのであれば、デメリットのある寝る前にあえてとるよりも、まずこうした朝食・間食・運動後にとる方が優先度が高いといえます。
これらのタイミングで栄養をしっかりとり、増量期でさらに栄養をとりたいという場合には、食事回数を増やす目的で夜の間食として検討してよいかもしれません。
まとめ
- 寝る前のプロテイン摂取の効果は、十分なデータがない。身長が伸びやすいかも不明。
- 寝る前の補給によって、睡眠の質が下がったり、肥満につながりやすいというデメリットもある。
- プロテインの摂取タイミングとしては、朝食・間食・運動後の方が優先度が高い。
参考文献
(※1)日本栄養・食糧学会 監修:「時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム」.女子栄養大学出版部,2014, p90-91.
(※2)Reitelseder S et al.: Whey and casein labeled with L-[1-13C]leucine and muscle protein synthesis: effect of resistance exercise and protein ingestion. Am J Physiol Endocrinol Metab, 300: E231-242, 2011.
(※3)Churchward-Venne TA et al.: Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism. Nutr Metab(Lond), 9: 40, 2012.