こんにちは。管理栄養士の盛岡です。
経口補水液については以前に「経口補水液とは?」の記事でスポーツドリンクとの違いや飲み方についてご説明いたしました。
一口に経口補水液といいましても形状はいくつかバリエーションがあり、成分や味も各メーカーごとに微妙に違いがあります。そこで今回は市販の経口補水液の成分を比較し、味も飲み比べてみてどんなものがおすすめか考えてみたいと思います。
目次
主な経口補水液の種類
主な経口補水液を形状ごとにご紹介いたします。経口補水液の形状には以下の3種類があります。
種類①ドリンクタイプ
ペットボトルに入ったドリンクタイプの経口補水液で、すぐに飲めるのがメリットです。
CMでよく見られるOS-1が有名ですね。
種類②ゼリータイプ
喉を潤すという点ではドリンクの方がさっとできると思いますが、液体だとむせてしまう高齢者にはゼリータイプの方が飲みやすくて良いでしょう。
種類③粉末タイプ
水に溶かして飲む粉末タイプの経口補水液もあります。水なしでそのまま飲むものではありません。
写真の商品は五洲薬品の「経口補水パウダー ダブルエイド」という商品です。コンパクトなので保管しやすく、携帯もしやすいですね。
分包は手で簡単に切れます。水に入れてかき混ぜたら、ダマにならず綺麗に溶けました。
成分の比較
商品ごと塩分濃度や糖分濃度を比較してみます。
ドリンクタイプの比較
下の表はドリンクタイプの経口補水液の比較表です。
メーカー | 大塚製薬 | 味の素 | 明治 | コカ・コーラ | 日本薬剤 |
製品 | OS-1 | アクアソリタ | アクアサポート | アクエリアス | エブリサポート |
内容量 | 500mL | 500mL | 500mL | 500mL | 500mL |
エネルギー(kcal) | 10 | 7 | 9 | 11 | 10 |
炭水化物(g) | 2.5 | 1.9 | 2.3 | 2.7 | 2.4 |
ブドウ糖(g) | 1.8 | 2 | 1.5 | ||
ブドウ糖(mEq) | 10 | 11.1 | |||
ナトリウム(mg) | 115 | 80 | 115 | 98 | 80 |
ナトリウム(mEq) | 5 | 3.5 | 5 | 4.3 | 3.5 |
食塩相当量(g) | 0.29 | 0.2 | 0.29 | 0.249 | 0.2 |
カリウム(mg) | 78 | 78 | 78 | 80 | 81 |
カルシウム(mg) | 10 | ||||
マグネシウム(mg) | 2.4 | 3.6 | 1.2 | 2.6 | |
リン(mg) | 6.2 | 15 | 13 | 5.6 | |
塩素(mg) | 177 | 117 | 177 | ||
浸透圧(mOsm/L) | 270 | 175 | 257 | 263 |
ナトリウム量はOS-1とアクアサポートの115mg/100mLがベストです。
アクアソリタ・アクエリアス・エブリサポートの経口補水液は少なめになっていて、ややスポーツドリンクに近い設計といえるでしょう。
人の体液の浸透圧は285mOsm/Lですので、いずれも体液より低い浸透圧で吸収されやすい「ハイポトニック飲料」です。
ゼリー・粉末タイプの比較
の表はゼリータイプと粉末タイプの経口補水液の比較表です。経口補水パウダーは1包を300mLの水に溶かしたときの、100mLあたりの配合量を記載しています。
メーカー | 大塚製薬 | 味の素 | オリヒロ | 五洲薬品 |
製品 | OS-1ゼリー | アクアソリタ ゼリー |
水分補給 ゼリー |
経口補水 パウダー |
内容量 | 200g | 130g | 130g | 6g(300mL分) |
エネルギー(kcal) | 10 | 15 | 21 | 6.4 |
炭水化物(g) | 2.5 | 4.0 | 5.3 | 1.6 |
ブドウ糖(g) | 1.8 | 5.0 | ||
ブドウ糖(mEq) | 10.0 | 27.8 | ||
ナトリウム(mg) | 115 | 79 | 114 | 115 |
ナトリウム(mEq) | 5 | 3.4 | 5 | 5 |
食塩相当量(g) | 0.29 | 0.20 | 0.29 | 0.29 |
カリウム(mg) | 78 | 77 | 87 | 52 |
カルシウム(mg) | 10 | 32 | 1.6 | |
マグネシウム(mg) | 2.4 | 3.6 | 6.9 | 3.2 |
リン(mg) | 6.2 | 15.4 | ||
塩素(mg) | 177 | |||
浸透圧(mOsm/L) | 270 |
OS-1ゼリーはドリンクタイプのOS-1と同じ配合バランスになります。
アクアソリタと水分補給ゼリーは飲みやすさを意識してか、糖分の量がスポーツドリンクと同じくらいの量になっています。これらは糖分が多いため浸透圧が高く、OS-1ゼリーに比べて水分の吸収は少し遅いです。
経口補水パウダーは300mLの水に溶かせばちょうどいい濃度になります。作る手間はあるものの、10包入りで834円ですのでコスパがなかなかいいです。
味の比較
味については主観になりますが、5段階評価でレビューします。
以下はドリンクタイプと水に溶かした経口補水パウダーの味の比較です。
商品 | おいしさ | 味の感想 |
アクアソリタ | ★★★★★ | しょっぱさは感じない。おいしいリンゴ味。 |
アクアサポート | ★★★★ | 塩味が少し気になるが十分おいしい。リンゴ味。 |
経口補水パウダー | ★★★★ | 塩味が少し気になるが十分おいしい。 レモン風味が少しあるが、300mLに溶かすと味は薄め。 |
OS-1 | ★★★ | ポカリ風味。ポカリの甘みが薄くなって、塩味が濃くなったイメージ。 |
エブリサポート | ★★ | おいしくはないが、飲めないわけではない。 |
アクアソリタは塩分が少ないこともあって一番おいしいです。日本薬剤の経口補水液は安いのは有り難いのですが味はちょっとイマイチでした。これはおサイフと相談になるかと思います。
次はゼリータイプの比較です。
商品 | おいしさ | 味の感想 |
アクアソリタ ゼリー |
★★★★★ | 少しかたまりのあるゼリー。 味はリンゴ味とゆず味の2つ。 |
水分補給ゼリー | ★★★★ | ゼリーのかたまりがやや大きくて出てきにくい。 味はグレープフルーツ味でおいしい。 |
OS-1ゼリー | ★★★ | ゼリーというよりドロドロした液体。 ドリンクのOS-1よりもまろやかに感じる。 |
どちらかといいますとゼリータイプの方がしょっぱさを感じにくく、ドリンクタイプよりも飲みやすいです。
全部飲んでみての感想は、普通のスポーツドリンクやジュースに比べるとさすがに味は劣るのですが、どの商品も「まずくてとても飲めない」ということはないです。すごく汗をかいたときであれば、塩味もおいしく感じるようになるのでははいかと思います。
目的ごとのおすすめ
それぞれの特徴を踏まえて、目的や状況に応じて自分に適したものを買うとよいでしょう。
熱中症の対処・回復力を重視する場合
熱中症の対処という点では、適量のナトリウムや糖分が含まれている「OS-1」や「アクアサポート」がよいでしょう。
アクアサポートのラベルにはメモ欄がありますので、飲む量や服用するお薬の量など書くことができて便利です。味もおいしいのでどちらかというとアクアサポート推しです。
味のおいしさを重視したい場合
味を重視したい場合には「アクアソリタ」がおすすめです。
重度の脱水症になってしまっている場合であれば「OS-1」などの方がいいですが、日常生活での水分補給や夏場の野外活動・スポーツ時など、低~中度の脱水ではナトリウムの少なめの「アクアソリタ」でも対応できます。
ナトリウム少なめといっても、スポーツドリンクと比べれば2倍くらいの量が含まれていますので、真夏の熱中症予防に十分おすすめです。
またゼリータイプの各商品も、しょっぱさを感じにくいのでドリンクが苦手な方にはおすすめです。
マラソン中に使用する場合
マラソンのレース中のミネラル補給では携帯できる「経口補水パウダー」が便利です。給水所の水に混ぜて飲みましょう。
値段を重視する場合
安いものがいい場合には、1本あたり100円ちょっとの価格で買える日本薬剤のエブリサポートがおすすめです。
飲み込むのが難しい高齢者の場合
水を飲むとむせやすい高齢者には、とろみのあるゼリータイプの経口補水液の方が嚥下(えんげ)しやすいのでおすすめです。
ゼリータイプについても、熱中症対策には「OS-1」が一番有効です。激しい脱水のときでなければおいしさも考慮して「アクアソリタゼリー」や「水分補給ゼリー」でもよいでしょう。
経口補水液で熱中症対策は万全に
- 経口補水液にはドリンクタイプ、ゼリータイプ、粉末タイプの3種類がある。
- 塩分濃度やおいしさ、飲みやすさを考慮して経口補水液を選ぼう