赤ちゃんは生後6ヶ月ごろから鉄分が不足しやすいため、鉄分が豊富な食材を離乳食に使うことが大切です。
中でもオートミールは赤ちゃんの鉄分補給にぴったりで、手軽に離乳食に取り入れられるのが魅力です。
今回はオートミールの鉄分の含有量や取り入れ方、またオートミールを使った簡単レシピについて、管理栄養士が紹介します。
目次
オートミールが赤ちゃんの鉄分補給に便利な理由
オーツ麦から作られるオートミールは、シリアルのように主食の代わりとして使えます。
オートミールは鉄分が豊富で、離乳食にも使いやすいため、ぜひ活用したい食材です。
赤ちゃんの鉄分補給におすすめできる理由を詳しく見てみましょう。
1.鉄分の含有量が豊富
オートミールは主食の中でも特に鉄分が豊富です。
他の主食とどのくらい違うのか、1食あたりの含有量を比較してみましょう。
主食の種類 | 1食あたりの 目安量(後期) |
鉄分含有量 |
オートミール | 15g | 0.6mg |
全がゆ (5倍がゆ) |
80g | - |
食パン | 20g | 0.1mg |
米にはほとんど鉄分が含まれず、食パンにも鉄分補給が期待できるほど含まれていません。
一方でオートミールは1食あたり0.6mgの鉄分が含まれています。
生後6~11ヶ月ごろの赤ちゃんの1日に必要な鉄分は、男児5.0mg、女児4.5mgと、たくさんの量が必要とされているため、オートミールは鉄分強化に役立ちます。
しかし、オートミールの鉄分の吸収率は、肉や魚に比べるとあまり高くない点は注意が必要です。
オートミール以外にも、肉や魚、大豆製品、野菜など、鉄分の豊富な食材を積極的に取り入れるようにしましょう。
鉄分の豊富な食材について、詳しくは「離乳食に使える鉄分が多い食材」の記事で紹介しています。
2.調理が簡単
オートミールは電子レンジで簡単に調理でき、加熱時間も1分程度でよいため、手軽に取り入れられる点も魅力です。
おかゆやパンがゆを作り忘れたときや、調理が面倒なとき、また手軽な朝食として取り入れるのもよいでしょう。
3.離乳食初期~中期ごろから取り入れられる
赤ちゃんが持っている鉄分は、生後6ヶ月ごろから不足しやすくなるため、離乳食初期~中期ごろから取り入れられるオートミールは、鉄分補給に便利です。
オートミールは離乳食初期(生後5~6ヶ月ごろ)から取り入れても問題のない食材ですが、食物繊維が多いため、離乳食に慣れてきたころから取り入れると安心です。
4.アレンジしやすい
オートミールは簡単にアレンジしやすく、さまざまなメニューに使えます。
例えば、きな粉、バナナなどの果物、野菜をあわせると、さらに栄養価がアップ。
おいしく食べられて、飽きずに続けやすいのもうれしいポイントです。
オートミールの使い方と注意点
オートミールの使い方や、取り入れる際の注意点を知っておきましょう。
はじめは1さじからあげる
オートミールをはじめてあげる際は、1さじからあげるようにしましょう。
オートミールは食物アレルギーの原因となることがあるため、少量ずつ試していく必要があります。
1さじを問題なく食べられたら、翌日以降に徐々に量を増やすようにしましょう。
1食あたりの目安の量
オートミールの離乳食の目安の量は、下記のとおりです。
時期 | オートミールの量 | 水分の量 |
初期 (生後5~6ヶ月) |
小さじ2 (3g) |
大さじ3 (45ml) |
中期 (生後7~8ヶ月) |
大さじ2 (10g) |
大さじ5 (75ml) |
後期 (生後9~11ヶ月) |
大さじ3 (15g) |
大さじ5 (75ml) |
完了期 (生後12~18カ月) |
大さじ4 (20g) |
大さじ5 (75ml) |
あくまで目安の量であるため、オートミールや水分の量を増減させても問題ありません。
赤ちゃんが食べられる量や、お腹の調子に影響のない量をあげるようにしましょう。
種類は「クイック」か「インスタント」がおすすめ
離乳食に使うオートミールの種類は「クイック」か「インスタント」を選びましょう。
オートミールにはいくつか種類がありますが、クイックやインスタントは、オーツ麦を蒸したあとにローラーで伸ばし、細かくフレーク状にしたものです。
消化にやさしいことや、調理の簡単さから、離乳食に使いやすい種類です。
パッケージに「クイック」や「インスタント」または「加熱済」などと記載されているため、よく確認してから購入するようにしましょう。
お腹の調子を見ながらあげる
オートミールは食物繊維が多いため、食べすぎると便がゆるくなったり、反対にかたくなったりすることがあります。
毎日食べても問題はないのですが、便の調子を見て、頻度や量を調節してあげるようにしましょう。
【中期~後期】鉄分たっぷりオートミールレシピ
離乳食に便利なオートミールは、水やミルクのみで調理しておかゆのように食べるのもよいのですが、さまざまなアレンジが可能です。
今回は電子レンジで簡単に作れて、鉄分もたっぷり摂れるレシピ3つを紹介します。
レシピの写真は離乳食中期を想定していますが、食材の切り方を大きくすれば、離乳食後期でも食べられます。
オートミールの量と水分量はどちらも記載しているため、参考にしてみてください。
納豆とほうれん草のオートミールがゆ
鉄分を含む納豆とほうれん草を組み合わせた、和風味のオートミールがゆです。
ほうれん草はパサパサしやすく、赤ちゃんが飲み込みづらいことがある食材ですが、オートミールや納豆などのとろみのある食材と組み合わせると食べやすくなります。
<材料(1食分)>
【中期】
・オートミール 大さじ2(10g)
・だし汁 大さじ5
【後期】
・オートミール 大さじ3(15g)
・だし汁 大さじ5
・ひきわり納豆 10g
・冷凍ほうれん草 10g
<作り方>
1)冷凍ほうれん草は耐熱容器に入れ、ラップをかけて電子レンジ(600W)に10~20秒かけ、食べやすい大きさに刻む。
2)大きめの深めの耐熱容器に、1のほうれん草、オートミール、だし汁、納豆を入れて混ぜる。ラップをかけずに電子レンジ(600W)で1分加熱する。一度かき混ぜ、人肌になるまで冷ます。
<栄養成分値>
中期:57kcal 鉄分0.8mg
後期:75kcal 鉄分1.0mg
ツナとトマトのオートミールがゆ
次は、鉄分を含むツナ缶を使ったレシピです。
ツナ缶とトマトのうまみと、オートミールの風味がよくあいます。
ツナ缶は手軽に鉄分を補給できるため、離乳食にぜひ取り入れたい食材です。
今回のレシピでは、ツナ缶は水煮・食塩不使用タイプを使っていますが、油漬け・食塩使用タイプを使うときは、お湯をかけて油と塩分を抜くようにしてください。
<材料(1食分)>
【中期】
・オートミール 大さじ2(10g)
・水 大さじ5
【後期】
・オートミール 大さじ3(15g)
・水 大さじ5
・ツナ缶(水煮・食塩不使用) 10g
・トマト 種と皮を除いた状態で10g
<作り方>
1)大きめの深めの耐熱容器にオートミール、水、汁気を切ってほぐしたツナ缶、食べやすい大きさに切ったトマトを入れて混ぜる。ラップをかけずに電子レンジ(600W)で1分~1分10秒加熱する。一度かき混ぜ、人肌になるまで冷ます。
<栄養成分値>
中期:44kcal 鉄分0.5mg
後期:62kcal 鉄分0.7mg
きな粉とバナナのオートミールがゆ
最後は、鉄分を含むきな粉を使ったオートミールがゆです。
きな粉は手軽に離乳食にプラスでき、鉄分以外にもカルシウムや食物繊維も強化できます。
きな粉の香ばしい香りと、バナナの甘さがよくマッチして赤ちゃんも食べやすいレシピです。
バナナときな粉は加熱せずに食べても問題ありませんが、加熱したい場合はオートミールと一緒に加熱してください。
<材料(1食分)>
【中期】
・オートミール 大さじ2(10g)
・育児用ミルク(または牛乳) 大さじ5
【後期】
・オートミール 大さじ3(15g)
・育児用ミルク(または牛乳) 大さじ5
・バナナ 20~30g
・スクスクダイズ(きな粉) 小さじ1
<作り方>
1)大きめの深めの耐熱容器にオートミール、育児用ミルク(または牛乳)を入れて混ぜる。ラップをかけずに電子レンジ(600W)で1分加熱する。
2)1のオートミールにつぶしたバナナ、スクスクダイズ(きな粉)を加えてよく混ぜ、人肌になるまで冷ます。
<栄養成分値>
中期(スクスクダイズ使用):117kcal 鉄分2.6mg
後期(スクスクダイズ使用):135kcal 鉄分2.8mg
中期(普通のきな粉使用):118kcal 鉄分1.1mg
後期(普通のきな粉使用):136kcal 鉄分1.3mg
今回は、きな粉の代わりにスクスクダイズを使用しています。
スクスクダイズはきな粉と同じように使えますが、鉄分強化されているのが特長です。
ヨーグルトにかけたりおかずに混ぜたりといろいろな使い方ができ、離乳食はもちろん、幼児食以降の栄養補給としても、長く活躍してくれます。
オートミールは調理が簡単で取り入れやすく、鉄分を補給したいときにぴったりの食材です。
今回紹介したレシピは、家にある材料で簡単に作れるものばかり。ぜひ試してみてくださいね。