アスリートの食事メニュー

【管理栄養士監修】大会当日のマラソンランナーの食事・補給食のとり方

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マラソン当日に力を出し切るための食事方法

こんにちは。スポーツ栄養士の盛岡です。

前回の「マラソン大会前日の食事方法」では、糖質がとれる主食と果物を中心に、消化のよい食べ物をとろうということをお伝えいたしました。

レース当日においてもその点は同じですが、食べる時間帯によって食べるものを考慮する必要があります。今回はマラソン大会当日に力を出し切るための、スタート前の食事方法やレース中の補給食のとり方についてご説明いたします。

朝食についてはメニュー例も記載していますので、よろしければ参考にしてみて下さい。

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朝食(スタートの3~4時間前)

朝食時(スタート3~4時間前)に食べて良いもの・悪いもの

前日と同様にエネルギー源であるグリコーゲンを貯蓄するため、糖質をしっかり補給しましょう。朝食ではごはんやパン・麺類といった腹持ちがいい糖質源となる食べ物をとって下さい。

食べる時間帯は、十分に消化ができるようにレースが始まる3~4時間前に食事を終えるようにします。この時間帯にごはんを食べれば空腹感が抑えられ、かつ血糖値やインスリンなどのホルモンの量が通常の状態に落ち着きます。

ウルトラマラソンやトライアスロンですと午前5~6時にスタートする場合が多いですが、それでも食べる時間帯にはこだわった方がよいでしょう。当日だけでなく、できれば1週間くらい前から早起きするようにして体内時計のリズムを合わせておきます。

反対に、たんぱく質や脂質は消化に時間がかかり、胃腸に余計な負担をかけることになりますので、肉や魚・卵を使った料理は控えめにして下さい。※競技時間がとても長いウルトラマラソンやトライアスロンですと脂質も適度に必要ですが、体脂肪も使われますのであまり細かく考える必要はありません。

5~10km程度のマラソンであればエネルギー不足にもなりにくいので、ここまで気にせずにいつも通りの食事でもよいでしょう。

ただし、食物繊維の多い食べ物はお腹にガスがたまって腹痛になったり、レース前の緊張も重なって下痢を引き起こす原因となります。フルーツグラノーラやオールブランなどのシリアル、生野菜のサラダはとらない方が無難です。

また果汁100%のジュースならビタミン補給ができて、糖質もとれるのでおすすめです。

朝食のメニュー例

実際の食事量の目安が分かるよう、朝食のメニュー例をご紹介いたします。

試合当日の朝食(きつねうどん、ごはん200g、りんごジュース)

【メニュー】
・きつねうどん
・ごはん やや大盛り(200g)
・100%りんごジュース

エネルギー 糖質
826kcal 169.9g

朝食の食事量は、男性は700~800kcal、女性は600~700kcalが目安です。ごはんだけで糖質を補給するのは大変ですので、食べやすい麺類とセットにするのがおすすめです。塩ラーメンやうどん、そばなどあっさりしたものを選んで下さい。

ごはんの代わりに、お餅を2個くらいのせて力うどんにしたり、あんこのついたお団子を食べるのもよいですね。食パン派の方は、バターではなくジャムやはちみつをたっぷり塗るようにしましょう。

関連記事:カーボローディングのメニュー例 ›

それでも「こんなに食べれない」と思う方は、1~2時間前におにぎりやパンなどの軽食をとるようにして下さい。マラソンをする前のエネルギー補給は絶対に欠かせません。このことを考えますと、レースのある日だけしっかり食べるというのも難しいので、普段からきちんと朝食をとるということも大切ですね。

スタート1~2時間前の食事

マラソンのスタート1~2時間前の食事

朝食があまり食べられなかったり、お腹が空いた場合には、走る1~2時間前のタイミングで消化のよいものを食べましょう。

おにぎりやパンではスタートまでに消化が終わらず腹痛の原因となりますので、バナナエネルギーゼリーといった果糖や砂糖が主成分の食べ物を選びます。コンビニで売られている小さいようかんカステラなどの和菓子もいいですね。

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レース前にカロリーメイトを食べている方を見かけたことがありますが、これは脂質が多い(1箱4本でおよそ22g)のであまりおすすめできません。

直前~30分前の栄養補給は注意

スタート直前の栄養補給は注意

注意点として、レースが始まる直前のタイミングでたくさんの栄養補給を行うのはよくありません。

直前に糖質を補給すると、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。これが運動の開始と重なると血糖値が下がりすぎて低血糖を起こし、疲労が早まったりする可能性があるためです(これを「インスリンショック」といいます)。

運動30分前に75gのブドウ糖(おにぎり2個程度の糖分)を摂取したら血糖値が下がりすぎてしまい、持久的パフォーマンスが低下したとの報告もあります1)

アメを舐めたりスポーツドリンクを飲むくらいならいいですが、直前のタイミングで甘いジュースやパン、エネルギーゼリーなどでがっつりと糖質をとるのは万一を考えて控えるようにしましょう。

なお走り始めてからであれば、インスリンの分泌は抑えられますので補給食をとっても大丈夫です。

レース中の補給食

補給食による糖質摂取の必要性

ハーフマラソンであれば水分補給だけで大丈夫ですが、フルマラソンであればエネルギー補給も必要です。

ランニングによるエネルギー消費量はおよそ体重(kg)×走行距離(km)のため、体重60kgの男性であれば60×42≒2,500kcalものエネルギーを消費することになります。

2,500kcalというと、なんと成人男性の1日に必要な量とほぼ同じくらいのエネルギー。いくら朝食やレース前に補給をしていたとしても、それだけでは到底まかなうことのできる量ではありません。

もちろん体に貯蔵されているグリコーゲンや体脂肪も少しずつ分解してエネルギーに利用されますが、先に消費されるグリコーゲンが枯渇してくると体脂肪の燃焼効率が低下してしまうので、後半に足が重くなる原因となります。

よく「30kmの壁」といわれるのは筋肉の疲労もありますが、糖質不足によるエネルギーの枯渇のせいでもあるのです。それを少しでも遅らせるために、糖質を少しずつ補給する必要があります。

さらに、フルマラソンは半数以上が4時間以上かけてお昼をまたいで走りますが、日常生活でもそれだけの時間が経てば普通にお腹がすきますよね。空腹で動けないなんてことにならないためにも、ゴールまでに時間がかかるランナーはよりこまめに補給するようにしましょう。

補給食のタイミングと摂取量

レース中の補給食のタイミングと量

補給食をとるタイミングは1時間に1回、1度に食べる量は100~200kcal程度を目安にとりましょう。

「これだけで走る分のエネルギーを全てまかなえるのか」と言われるとそういうわけでもないのですが、あまり食べすぎると腹痛を起こしますので食べ過ぎは禁物です。

内蔵の血流量は安静時は全体の40%ほどありますが、運動時には筋肉に血流が集中しますので約5%まで低下します。消化・吸収にあまり大きな負担をかけられませんので、バランスをとる必要があります。また、食べ物の消化のために内蔵の血流が増加してしまうと、走りのパフォーマンスが低下する可能性もございます。

何を食べるとよいか

レース中に食べるものは食べやすくできるだけ消化のよいものが望ましいです。

エネルギーバーや小さめのパンを食べても実際にはあまりお腹が痛くなったりしませんが、一番いいのはバナナやエナジージェルです。

エネルギーバーやパンですと主な糖質はデンプンになりますが、デンプンは体内での分解に時間がかかるので比較的消化に負担のかかる糖質です。一方でバナナには果糖、エナジージェルには砂糖やマルトデキストリンという糖質が含まれていますので、体にすぐ吸収されパフォーマンスの低下も少ないと考えられます。

関連記事:主なエナジージェルの比較とおすすめ ›

そういえば京都マラソンを走ったときは、エイドに生八ツ橋が出されていましたね。マラソン中の生八ツ橋は最高でしたので、京都マラソンに出場する際はぜひ食べましょう。

まとめ

  • 朝食はスタートの3~4時間前に、ごはん・パン・麺類をしっかり食べる
  • 朝食はたんぱく質・脂質の多い肉や魚、卵を使った料理は控える
  • 朝食は食物繊維の多いシリアルや野菜は控える
  • スタートの1~2時間は、バナナやエネルギーゼリー、カステラなどの軽食がよい
  • レース直前の栄養補給は、インスリンショックに注意する
  • フルマラソンではエネルギーの消費量が多いため、レース中にも補給食で糖質をとることが大切
  • 補給食は1時間に1回、100~200kcalのエネルギー補給をするとよい
  • 補給食は消化の負担がかからないバナナやエナジージェルがよい

参考文献

井奥加奈 編集:「新 スポーツ栄養学」.嵯峨野書院,2016.
田口素子・樋口満 編:「体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学」.市村出版,2014.
文部科学省:食品成分データベース http://fooddb.mext.go.jp/
1) Foster, C., Costill, DL, Fink, WJ, Effects of preexercise feeding on endurance performance, Medicine and Science and Sports, 11, 1979, pp.1-5.

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