こんにちは。管理栄養士の盛岡です。
野球やサッカーなどスポーツをしている子供にとって、体を大きくすることは重要な課題です。
「当たり負けしないがっしりした体をつくりたい」「背を伸ばしたい」など、色々な「体を大きくしたい」思いがあることと思います。
中学生は成長期であり、体を大きくする絶好のチャンスです。
そこで今回は中学生が体を大きくするための栄養について解説し、具体的な献立やレシピなどもご紹介いたします。
目次
中学生が体を大きくするための栄養
体を大きくするためには、どのような栄養素が特に必要なのか、目的別にみてみましょう。
筋肉をつけて体重を増やすには
筋肉をつけて体重を増やすには、炭水化物やタンパク質をしっかりとることが大切です。
炭水化物が足りない状態では練習後の疲労回復が遅れたり、筋肉の分解にもつながってしまいます。
特に練習後は炭水化物とタンパク質の両方を速やかに補給することで、効率的な疲労回復と体力アップにつなげられます。
またタンパク質は、一度にたくさんとっても吸収できないという特性があるので、毎回の食事でタンパク質をとるよう心がけましょう。
中でも重要なのが朝食です。空腹のときの体は、筋肉の分解が進んでいる状態です。朝食をとらないと、筋肉の分解が進んだ状態がお昼まで続くことになってしまいます。
「分解モード」を止めるために朝からタンパク質をとることは大切ですので、朝食はしっかりととりましょう。
炭水化物は主食であるごはんやパンに多く含まれ、タンパク質は肉や魚、卵に多く含まれています。
<中学生の摂取カロリー>
男子 | 女子 | |
12~14歳 | 2,900kcal | 2,700kcal |
※日本人の食事摂取基準2020年版 身体活動レベル3の推定エネルギー必要量
<中学生のタンパク質>
男子 | 女子 | |
12~14歳 | 94~145g | 86~133g |
※日本人の食事摂取基準2020年版 身体活動レベル3の1日のタンパク質の目標量
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身長を伸ばすには
身長を伸ばすには、骨を伸ばすために必要なタンパク質や亜鉛、成長した骨を固めるために必要なカルシウムをとることが大切です。
特にカルシウムは不足気味の傾向があり、毎日欠かさずにとりましょう。汗からも流れ出る分などもふまえ、スポーツをする子供は1日1,000mg以上とれるとよいです。
牛乳だけで換算すると、5~6杯分の量になります。
牛乳は毎食の食事に取り入れやすく、タンパク質やカルシウムをとるのにおすすめですが、牛乳を飲めない場合は、チーズ、ヨーグルト、小魚、緑黄色野菜、大豆製品などからカルシウムを補いましょう。
また、「寝る子は育つ」というように、睡眠は身長を伸ばすのに必要不可欠な、成長ホルモンの分泌にとても大切です。
とくに深い眠りのときに分泌されやすくなるため、深く眠れるような工夫も必要です。
睡眠の質を向上させるには、寝る前のスマートフォンやタブレット、テレビを避けたり、決まった時間に寝て起きるなど、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
<中学生のカルシウム推奨量>
男子 | 女子 | |
12~14歳 | 1,000mg | 800mg |
※日本人の食事摂取基準2020年版 身体活動レベル3の1日のカルシウムの推奨量
詳細記事:身長を伸ばすために必要な7つの栄養素 >
補食を取り入れよう
とくに運動量の多い子供や少食な子供は、エネルギーなどの栄養素が不足しやすくなります。補食で食事回数を増やしたり、おやつを取り入れたりして、不足しないよう気を付けましょう。
単なるお菓子を選ぶのではなく、おにぎりやサンドイッチ・果物・ヨーグルトなど栄養価の高いものを選ぶことがポイントです。
ご飯の量を増やすのが大変な方はバナナやエネルギーゼリー、カステラなどで摂取カロリーを増やすとよいでしょう。
詳細記事:アスリートの補食・おやつの選び方 >
中学生アスリートの食事メニュー
朝食の献立例:ジャムでエネルギーアップ
<献立>
・食パン2枚といちごジャム
・オムレツ(卵2個)
・きのこスープ
・牛乳+ジュニアプロテイン
<栄養価>
エネルギー : 758kcal
タンパク質 : 36.5g
パン食派のための朝食メニュー例です。ごはんの場合は200gほどとれるとよいです。
少食な方はジャムパンやあんパンにすることで、摂取エネルギーを増やすことができます。
夕食の献立例:中学生男子が喜ぶ丼ものメニュー
<献立>
・豚キムチ丼 ごはん200g、肉100g
・オクラときゅうりの和え物
・小松菜とじゃがいもの味噌汁
・牛乳+ジュニアプロテイン
<栄養価>
エネルギー : 944kcal
タンパク質 : 47.0g
ビタミンB1: 1.8mg
ごはんがすすむ丼もののメニュー例です。キムチのピリ辛や玉ねぎなどの香味野菜が、食欲を沸き立てます。
主菜の肉は1食あたり100g程度をとれるとよいでしょう。
ガッツリ食べたい中学生男子におすすめのメニューです。
体を大きくする食事レシピ6選!
ここからは体を大きくするおすすめメニューをご紹介します!
食欲が出ない方に:豚玉うどん
食欲が出なくてたくさん食べにくいときは麺類がおすすめ。
具だくさんなうどんは1品でタンパク質がしっかりとれる上、パパッと作れる時短メニューで忙しい時の献立に役立ちます。お出汁がしみたお肉と卵は、うどんとの相性バツグンです!
豚肉はビタミンB1が豊富で、疲労回復にも役立ちます。
<材料(1人分)>
・ゆでうどん 2玉
・豚こま切れ肉 100g
・卵 1個
・ねぎ 適量
・めんつゆ(4倍濃縮) 40ml
・水 360ml
<栄養価>
エネルギー:745kcal
タンパク質:36.3g
<作り方>
1)鍋にめんつゆと水を入れて煮立たせます。豚こま切れ肉を茹で、取り出しておきます。
2)肉を取り出した鍋にうどんを入れ、ほぐします。溶き卵を回し入れ、全体的に火を通します。
3)器に2)を盛り、1)のお肉と刻みねぎをのせたら出来上がり。
間食におすすめ:鶏肉のビビンバおにぎり
高タンパクな補食の鶏肉のビビンバおにぎりは、タンパク質がとれる上、野菜も食べられ一石二鳥!
鶏ひき肉を使っているので低脂肪。いろいろな具の入ったおにぎりは、いくつ食べても飽きのこないおいしさです。
<材料(大きめおにぎり2個分)>
・鶏ひき肉 80g
・おろししょうが 適量
・おろしにんにく 適量
・醤油 小さじ2
・砂糖 小さじ1
・もやし 50g
・にんじん 25g
・塩 適量
・ごま油 適量
・卵 1個
・ごはん 200g
・ねぎ 適量
・一味唐辛子 適量
<栄養価>
エネルギー:551kcal
タンパク質:26.9g
<作り方>
1)フライパンを熱し、溶き卵を炒めて炒り卵を作っておきます。
2)フライパンを熱し、鶏ひき肉、おろししょうが、おろしにんにくを入れて炒めます。肉の色が変わったら醤油、砂糖を入れて更に炒め、そぼろを作っておきます。
3)もやしと千切りにしたにんじんを茹でて水気を切り、塩、ごま油で和えてナムルを作っておきます。
4)ボウルに1)、2)、3)、ごはん、刻んだねぎ、一味唐辛子を入れてよく混ぜ、おにぎりにしたら出来上がり。
作り置きのタンパク質源:よだれ鶏
レンジ調理で簡単に作れるよだれ鶏は、あと一品足りないという時に活躍するお助けレシピ。
さっぱりとした鶏肉に、ねぎとにんにくの香りがきいたソースは食欲が沸き、お子様も喜ぶ一品に!
<材料(2人分)>
・鶏胸肉 200g
・酒 大さじ1
・砂糖 小さじ1
(ソース材料)
・ねぎ 1/8本
・醤油 大さじ1
・酢 大さじ1
・砂糖 大さじ1
・ラー油 適量
・おろしにんにく 小さじ1
<栄養価(1人分)>
エネルギー:142kcal
タンパク質:24.5g
<作り方>
1)鶏胸肉は全体にフォークを刺して穴をあけ、酒、砂糖を揉みこみます。耐熱皿に肉を置き、ふんわりラップをして600Wで3分弱加熱し、裏返して更に3分弱加熱します。
2)ねぎはみじん切りにし、ボウルに(ソース材料)を全て入れ、混ぜ合わせます。
3)加熱しスライスした鶏胸肉を器に盛り付け、2)のソースをかけたら出来上がり。
鯖缶のサンドイッチ
良質なタンパク質である鯖缶。鯖缶は鉄分も多く含まれ、また、骨ごとやわらかく煮てあるのでカルシウムもたっぷり含まれています。
サンドイッチといえばツナが定番ですが、鯖もよく合います。きゅうりの歯ごたえが更においしさを引き立てます。
<材料(1人分)>
・食パン 8枚切り 2枚
・鯖缶(水煮) 1缶
・きゅうり 1本
・バター 小さじ1
・マヨネーズ 大さじ2
・こしょう 少々
<作り方>
1)鯖缶は水気を切ってマヨネーズ、こしょうで和えます。きゅうりは薄切りにし、水気を拭き取ります。
2)トースターで焼き色をつけた食パンにバターを塗り、下ごしらえした具をはさんでラップに包み、なじませます。
3)具とパンがなじんだら切り分け、お皿に盛り付けて出来上がり。
牛肉しぐれのおにぎり
甘辛く煮た牛肉はおにぎりとベストマッチ。牛肉はタンパク質に加え、ジュニアアスリートに不足しがちな鉄分も豊富に含んでいます。
<具材(作りやすい分量)>
・牛小間切れ肉 200g
・しょうが 20g
・醤油 大さじ2
・砂糖 大さじ3
・酒 大さじ2
・水 大さじ1
<具材の作り方>
1)千切りにしたしょうがと、牛肉以外の材料を鍋に入れ煮立たせます。
2)小さめに切った牛小間切れ肉を入れ、箸でほぐしながら汁気がなくなるまで炒り煮します。
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疲労回復タコライス
夏場や疲れているときにピッタリの一品です。合いびき肉を使っており、豚肉は疲労回復に役立つビタミンB1、牛肉は貧血予防・だるさの解消に役立つ鉄分が豊富に含まれています。
ケチャップとカレー粉を使うことで簡単にできる上に、お子さまでも食べやすい味付けになります。
【材料(2人分)】
・合いびき肉・・・260g
・玉ねぎ・・・2/3個
・すりおろしにんにく・・・小さじ1/2
・すりおろししょうが・・・小さじ1/2
・オリーブオイル・・・大さじ1
[★A]
★ケチャップ・・・大さじ4
★カレー粉・・・小さじ2
★塩・・・小さじ1/2
★こしょう・・・少々
・トマト・・・1個
・レタス・・・1/2個
・アボカド・・・1/2個
・ミックスビーンズ・・・20g
・粉チーズ・・・大さじ2
・温かいご飯・・・500g
【作り方】
1)玉ねぎをみじん切りにする。フライパンにオリーブオイル、すりおろしにんにく、すりおろししょうがを入れて弱火で炒める。
2)合いびき肉と玉ねぎを加え、火が通ったら★Aを回しかけて全体に絡まるように炒めて火を止める。
3)トマト、レタスはサイコロ状に切り、レタスは太めの千切りにする。器に温かいご飯を盛り、その上にタコミート、粉チーズをのせる。周りにレタス、トマト、アボカド、ミックスビーンズを散らして完成。仕上げにパセリやブラックペッパーをかけるのもオススメ。
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まとめ
大きな体は1日で手に入るものではありませんので、食事もトレーニングのひとつと考えて取り組んでいきましょう。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました!
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」