こんにちは。スポーツ栄養士の盛岡です。
前回の「身長を伸ばすために食事でとるべき栄養素」では、タンパク質をはじめとした骨を”伸ばす”栄養素と、カルシウムなどの骨を”固める”栄養素の両方を食事でとることが大切だとお伝えしました。
今回はこれらの栄養素が、具体的にどんな食べ物・飲み物に含まれているのかについてご紹介いたします。
目次
身長を伸ばす食べ物・飲み物
タンパク質・亜鉛の豊富な食品
タンパク質はコラーゲンの材料となり身長(骨)を伸ばす働きのあり、亜鉛は成長ホルモンの分泌にかかわっているミネラルです。タンパク質は、主に肉・魚介類・卵・大豆・乳製品に良質なものが多く含まれています。
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亜鉛も肉や魚介類、大豆などに多く、タンパク質が多い食べ物と共通しており、以下がその含有量になります。
<食品中のタンパク質・亜鉛含有量>
食べ物 | 1回量 | タンパク質 | 亜鉛 |
レバー | 100g | 19.6g | 3.8mg |
牛もも肉 | 100g | 17.8g | 3.7mg |
豚もも肉 | 100g | 19.5g | 2.0mg |
鶏もも肉 | 100g | 17.3g | 1.7mg |
卵 | 1個(50g) | 6.2g | 0.7mg |
豆腐(絹) | 1/3丁(100g) | 4.9g | 0.5mg |
納豆 | 1パック(40g) | 6.6g | 0.8mg |
さば | 1切れ(100g) | 20.6g | 1.1mg |
鮭 | 1切れ(100g) | 22.5g | 0.5mg |
にぼし | 10尾(3g) | 1.9g | 0.2mg |
牡蠣 | 3個(50g) | 3.5g | 7.3mg |
あさり | 5個(15g) | 0.9g | 0.2mg |
たらこ | 1腹(45g) | 10.8g | 1.4mg |
牛乳 | 200cc | 6.9g | 0.8mg |
チーズ | 1個(18g) | 4.1g | 0.6mg |
ごま | 小さじ1(3g) | 0.6g | 0.2mg |
アーモンド | 5粒(5g) | 1.0g | 0.2mg |
ピーナッツ | 10粒(6g) | 1.5g | 0.1mg |
亜鉛は肉類ではレバーや牛肉に特に多く含まれています。貧血予防に大切な鉄分などのミネラルも牛肉に多いため、アスリートを目指す子供には主菜のおかずが鶏肉や豚肉の料理だけでなく、牛肉の料理も取り入れるとよいでしょう。
参考:タンパク質・亜鉛の摂取量の目安
子供に必要なタンパク質と亜鉛の摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において年齢別に以下の量が推奨されています。
<タンパク質の推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 35g | 30g |
8~9歳 | 40g | 40g |
10~11歳 | 50g | 50g |
12~14歳 | 60g | 55g |
15~17歳 | 65g | 55g |
※こちらはスポーツをしない子供も含めた標準的な量ですので、運動量が多い子や体の大きい子はより意識してタンパク質をとる必要があります。
スポーツをする子供にはどれだけのタンパク質が必要かというのは厳密に示すことが難しいのですが、少なくともこの推奨量を下回る場合には、もう少し意識してタンパク質をとるとよいでしょう。
<亜鉛の推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 5mg | 5mg |
8~9歳 | 6mg | 5mg |
10~11歳 | 7mg | 7mg |
12~14歳 | 9mg | 8mg |
15~17歳 | 10mg | 8mg |
メニュー例
牛肉の使ったメニュー例として、「牛肉ときゅうりの梅肉炒め」をご紹介します。運動後は食欲がわかないときもありますが、梅肉を使うことで酸味がきいて食べやすくなります。1食あたりタンパク質は18.4g、亜鉛は3.5mg含まれています。
カルシウム・マグネシウムの豊富な食品
骨を強く硬いものにするにはカルシウム摂取が欠かせません。また、カルシウムと同様に骨の材料となっているマグネシウムも十分に摂取しないと骨質の低下、つまり骨の強度の低下につながることが知られています。
カルシウムの多い食品は乳製品や小魚・大豆・野菜・海藻になります。カルシウムの豊富な食品にはマグネシウムも豊富なことが多く、マグネシウムはそのほかバナナやココアにも含まれています。
したがってカルシウムが不足している食生活の方は、多くの場合マグネシウムも不足しがちです。以下の表は食品中に含まれているカルシウムとマグネシウムの含有量です。
<食品中のカルシウム・マグネシウム含有量>
食べ物 | 1回量 | カルシウム | マグネシウム |
干しエビ | 2g | 140mg | 10mg |
ししゃも | 3尾(60g) | 200mg | 29mg |
牡蠣 | 3個(50g) | 42mg | 33mg |
しらす | 10g | 21mg | 7mg |
にぼし | 10尾(3g) | 66mg | 7mg |
さば缶 | 1缶 (固形140g) |
360mg | 43mg |
牛乳 | 200cc | 230mg | 21mg |
チーズ | 1個(18g) | 110mg | 3mg |
ヨーグルト | 1個(100g) | 120mg | 12mg |
豆腐(木綿) | 1/3丁(100g) | 86mg | 130mg |
豆腐(絹) | 1/3丁(100g) | 57mg | 55mg |
納豆 | 1パック(40g) | 36mg | 40mg |
無調整豆乳 | 200cc | 30mg | 50mg |
小松菜 | 1/4束(50g) | 85mg | 6mg |
ほうれん草 | 1/4束(50g) | 25mg | 35mg |
大根の葉 | 1/2株(50g) | 130mg | 11mg |
切り干し大根 | 10g | 50mg | 16mg |
ひじき(乾燥) | 10g | 100mg | 64mg |
わかめ(乾燥) | 1g | 8mg | 4mg |
ごま | 小さじ1(3g) | 36mg | 11mg |
ピーナッツ | 10粒(6g) | 3mg | 10mg |
バナナ | 1本(100g) | 6mg | 32mg |
ピュアココア | 大さじ1(6g) | 8mg | 26mg |
参考:カルシウム・マグネシウムの摂取量の目安
カルシウムとマグネシウムは日本人に不足している栄養素で1)、特にアスリートの場合はこれらのミネラルは汗で失われてしまう分もあるため、意識してとることが大切です。
子供に必要なカルシウムとマグネシウムの摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において年齢別に以下の量が推奨されています。
<カルシウムの推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 600mg | 550mg |
8~9歳 | 650mg | 750mg |
10~11歳 | 700mg | 750mg |
12~14歳 | 1000mg | 800mg |
15~17歳 | 800mg | 650mg |
<マグネシウムの推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 130mg | 130mg |
8~9歳 | 170mg | 160mg |
10~11歳 | 210mg | 220mg |
12~14歳 | 290mg | 290mg |
15~17歳 | 360mg | 310mg |
メニュー例
木綿豆腐や油揚げはカルシウム・マグネシウムの多い食材です。乳製品が苦手な場合には積極的にメニューに取り入れることをおすすめします。1食あたりカルシウムは269mg、マグネシウムは89mg含まれています。
また干しエビは100gあたりでは最もカルシウム量の多い食材です。炒め物やおひたしにちょい足ししてみるとよいでしょう。1食あたりカルシウムは238mg、マグネシウムは47mg含まれています。
ビタミンDの豊富な食品
ビタミンDは魚やきのこを取り入れれば簡単に必要量が摂取できますが、反対に肉類や大豆、乳製品、野菜にはほとんど含まれていないことから、魚もきのこも入っていない食事では不足しやすくなりますので注意しましょう。
<食品中のビタミンD含有量>
食べ物 | 1回量 | ビタミンD |
鮭 | 1切れ(100g) | 33.0μg |
さば | 1切れ(100g) | 5.1μg |
にぼし | 10尾(3g) | 1.6μg |
きくらげ(乾燥) | 3個(1g) | 1.3μg |
しめじ | 1/2パック(50g) | 0.3μg |
えのき | 1/2パック(50g) | 0.5μg |
参考:ビタミンDの摂取量の目安
<ビタミンDの推奨量>
子供に必要なビタミンDの摂取量は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において年齢別に以下の量が推奨されています。
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 3.0μg | 3.0μg |
8~9歳 | 3.5μg | 3.5μg |
10~11歳 | 4.5μg | 4.5μg |
12~14歳 | 5.5μg | 5.5μg |
15~17歳 | 6.0μg | 6.0μg |
ビタミンKの豊富な食品
ビタミンKが多く含まれている食べ物は「豆・大豆製品」と「緑色の野菜や海藻」と覚えておきましょう。
ビタミンKは体の腸内細菌からも作られ、通常の食生活であれば不足することはほとんどないため、食品中の含有量や1日の目安量はここでは省略いたします。
牛乳で身長が伸びるは本当か
「牛乳で身長は本当に伸びるの?」とよく聞かれますが、これについては「必ず牛乳を飲まないといけないわけではありませんが、身長を伸ばす上で牛乳はとても便利な食品です」といつもお答えしています。
身長を伸ばすためには様々な栄養素をバランスよくとることが必要で、そのためには様々な食べ物を偏りなくとることがお分かり頂けたかと思いますが、特に不足しやすい栄養素はカルシウムです。
牛乳コップ1杯(200cc)で摂取できるカルシウムは約230mgで、これを他の食品で同じだけとるにはなかなか大変なことが前述の含有量の表を見ても分かるかと思います(豆乳でもコップ1杯で約60mgと、1/4くらいの量です)。
さらに、牛乳や乳製品には骨を伸ばすために必要な、良質なタンパク質と亜鉛も含まれています。これらを1つの食品で同時にとることができるという点で、牛乳はやはり身長を伸ばすための栄養補給に便利な食品だといえるでしょう。
魚の缶詰はスーパー食材
牛乳のほかにおすすめしたい食べ物がイワシ缶やサバ缶といった魚の缶詰です。
シシャモや煮干しのように丸ごと食べられるものはカルシウムを多くとれますが、基本的に魚は骨を除いてしまうと、身だけ食べてもカルシウムはあまり摂取できません。
しかし缶詰のようにじっくり煮込んである場合には骨もやわらかくなっているため、骨ごと食べればカルシウムをたっぷり補給することができます。
良質なタンパク質に加えて亜鉛・カルシウム・マグネシウム・ビタミンDが網羅されている魚の缶詰もまた、身長を伸ばす栄養補給に役立つ食品といえます。調理の手間もかからないので、朝食やお弁当のおかずにぜひ取り入れてみましょう。
タンパク質は朝食からしっかりとろう
食べ方のポイントとして、タンパク質のとれる食べ物は朝からしっかり食べるようにしましょう。
タンパク質は一度にたくさん摂取しても吸収しきれない場合があり、またタンパク質をとれるタイミングが昼食と夕食だけだと量的にも十分にとれない可能性があります。
朝はあまり食欲がわかずごはんだけ・パンだけとなりがちですが、おかずにはウインナー・目玉焼き・納豆・冷奴などを入れ、プラス飲み物に牛乳や豆乳といった良質なタンパク質をとれるものを朝食のメニューに取り入れてみて下さい。
食べる時間がとれないと朝食をとることもできなくなってしまいますので、早寝早起きの習慣をつけることも大事ですね。
意識したい食事のポイント
ここまで具体的な食べ物の栄養素と摂取量をお伝えしましたが、栄養士でもない限り「何の食品を何グラムで…」と考えることはなかなか難しいと思います。
そこで食事の献立を考える際にはまず以下のポイントを意識してみましょう。
- 主菜のおかず(肉・魚・卵・大豆を使ったおかず)を毎食取り入れる
- 牛乳を1日2~3杯は飲む
- 大豆や大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げ・豆乳)は毎日1品以上とる
- 魚介類と肉類のおかずは同じくらいの割合でとる(肉や卵に偏らせない)
- 副菜のおかず(野菜・海藻を使ったおかず)を毎日5品以上はとる
- きのこ類もおかずの材料にプラスする
一度に全てを完璧にこなそうとするのは大変ですので、ぜひできるところから取り組んでみて下さい。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
身長を伸ばすための食事は突き詰めると「バランスのよいメニュー」ということになるのですが、偏っている部分は人それぞれ違ってきますので、今回の記事でそれをどう補うとよいのかが少しでも参考になれば嬉しいです。
なお当サイトではタンパク質やカルシウム・マグネシウムがバランスよく補える「ジュニアプロテイン」という食品を取り扱っています。
大豆をベースに作られており、また人工甘味料は不使用なので子供が毎日飲んでも安心です。不足しやすい栄養素をココア感覚で手軽に補えるため、成長期の小・中学生におすすめです。
ジュニアプロテインは普通のプロテインとどう違うのかについては、「ジュニアプロテインの効果や飲み方」をご参照ください。
参考文献
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015年版)
文部科学省:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
1) 厚生労働省:平成28年度国民健康・栄養調査