この記事は第三者の監修を受けています。
川本徹 先生(内科・整形外科・皮膚科消化器内科・消化器外科・大腸肛門外科)
「みなと芝クリニック」院長。
東邦大学医学部医学科客員講師。東京女子医科大学非常勤講師。1987年、筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学消化器外科講師、米国テキサス大学臨床腫瘍科客員講師を務めた後、2010年、東京都港区にて「みなと芝クリニック」を開業。”外科系内科医”を自称し、予防医学の観点から、病気の早期診断・予防に全力を傾けている。 【メディア出演】「林修の今でしょ!講座」「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」「林先生が驚く初耳学!」「Dr.ジャッジ」など 【著書】「その不調、背中ストレッチが解決します。」
こんにちは!管理栄養士の盛岡です。
前回の「身長を伸ばすために食事でとるべき栄養素」では、タンパク質をはじめとした骨を”伸ばす”栄養素と、カルシウムなどの骨を”固める”栄養素の両方を食事でとることが大切だとお伝えしました。
背が伸びる小学生・中学生・高校生の時期は特に意識してこれらの栄養素をとる必要があります。
今回はこれらの栄養素が、具体的にどんな食べ物・飲み物に含まれているのかについてご紹介いたします。
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目次
身長を伸ばす食べ物・飲み物
タンパク質・亜鉛の豊富な食品
タンパク質はコラーゲンの材料となり身長(骨)を伸ばす働きのあり、亜鉛は成長ホルモンの分泌にかかわっているミネラルです。タンパク質は、主に肉・魚介類・卵・大豆・乳製品に良質なものが多く含まれています。
関連記事:良質なタンパク質とは? ›
亜鉛も肉や魚介類、大豆などに多く、タンパク質が多い食べ物と共通しており、以下がその含有量になります。
<食品中のタンパク質・亜鉛含有量>
食べ物 | 1回量 | タンパク質 | 亜鉛 |
レバー | 100g | 19.6g | 3.8mg |
牛もも肉 | 100g | 17.8g | 3.7mg |
豚もも肉 | 100g | 19.5g | 2.0mg |
鶏もも肉 | 100g | 17.3g | 1.7mg |
卵 | 1個(50g) | 6.2g | 0.7mg |
豆腐(絹) | 1/3丁(100g) | 4.9g | 0.5mg |
納豆 | 1パック(40g) | 6.6g | 0.8mg |
さば | 1切れ(100g) | 20.6g | 1.1mg |
鮭 | 1切れ(100g) | 22.5g | 0.5mg |
にぼし | 10尾(3g) | 1.9g | 0.2mg |
牡蠣 | 3個(50g) | 3.5g | 7.3mg |
あさり | 5個(15g) | 0.9g | 0.2mg |
たらこ | 1腹(45g) | 10.8g | 1.4mg |
牛乳 | 200cc | 6.9g | 0.8mg |
チーズ | 1個(18g) | 4.1g | 0.6mg |
ごま | 小さじ1(3g) | 0.6g | 0.2mg |
アーモンド | 5粒(5g) | 1.0g | 0.2mg |
ピーナッツ | 10粒(6g) | 1.5g | 0.1mg |
亜鉛は肉類ではレバーや牛肉に特に多く含まれています。貧血予防に大切な鉄分などのミネラルも牛肉に多いため、アスリートを目指す子供には主菜のおかずが鶏肉や豚肉の料理だけでなく、牛肉の料理も取り入れるとよいでしょう。
参考:タンパク質・亜鉛の摂取量の目安
子供に必要なタンパク質と亜鉛の摂取量は、「日本人の食事摂取基準」において年齢別に以下の量が推奨されています。
<タンパク質の推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 30g | 30g |
8~9歳 | 40g | 40g |
10~11歳 | 45g | 50g |
12~14歳 | 60g | 55g |
15~17歳 | 65g | 55g |
※こちらはスポーツをしない子供も含めた標準的な量ですので、運動量が多い子や体の大きい子はより意識してタンパク質をとる必要があります。
スポーツをする子供にはどれだけのタンパク質が必要かというのは厳密に示すことが難しいのですが、少なくともこの推奨量を下回る場合には、もう少し意識してタンパク質をとるとよいでしょう。
<亜鉛の推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 5mg | 4mg |
8~9歳 | 6mg | 5mg |
10~11歳 | 7mg | 6mg |
12~14歳 | 10mg | 8mg |
15~17歳 | 12mg | 8mg |
メニュー例
牛肉の使ったメニュー例として、「牛肉の味噌そぼろ」をご紹介します。タンパク質と亜鉛の両方をとることができ、ご飯のお供におすすめです。
おやつでは「きな粉豆腐ドーナツ」がおすすめ。ふんわりとしたきな粉の香りを楽しめるドーナツです。
ホットケーキミックスに豆腐を入れると、冷めてもモチモチの仕上がりになります。
カルシウム・マグネシウムの豊富な食品
骨を強く硬いものにするにはカルシウム摂取が欠かせません。また、カルシウムと同様に骨の材料となっているマグネシウムも十分に摂取しないと骨密度の低下、つまり骨の強度の低下につながることが知られています。
カルシウムの多い食品は乳製品や小魚・大豆・野菜・海藻になります。カルシウムの豊富な食品にはマグネシウムも豊富なことが多く、マグネシウムはそのほかバナナやココアにも含まれています。
したがってカルシウムが不足している食生活の方は、多くの場合マグネシウムも不足しがちです。以下の表は食品中に含まれているカルシウムとマグネシウムの含有量です。
<食品中のカルシウム・マグネシウム含有量>
食べ物 | 1回量 | カルシウム | マグネシウム |
干しエビ | 2g | 140mg | 10mg |
ししゃも | 3尾(60g) | 200mg | 29mg |
牡蠣 | 3個(50g) | 42mg | 33mg |
しらす | 10g | 21mg | 7mg |
にぼし | 10尾(3g) | 66mg | 7mg |
さば缶 | 1缶 (固形140g) |
360mg | 43mg |
牛乳 | 200cc | 230mg | 21mg |
チーズ | 1個(18g) | 110mg | 3mg |
ヨーグルト | 1個(100g) | 120mg | 12mg |
豆腐(木綿) | 1/3丁(100g) | 86mg | 130mg |
豆腐(絹) | 1/3丁(100g) | 57mg | 55mg |
納豆 | 1パック(40g) | 36mg | 40mg |
無調整豆乳 | 200cc | 30mg | 50mg |
小松菜 | 1/4束(50g) | 85mg | 6mg |
ほうれん草 | 1/4束(50g) | 25mg | 35mg |
大根の葉 | 1/2株(50g) | 130mg | 11mg |
切り干し大根 | 10g | 50mg | 16mg |
ひじき(乾燥) | 10g | 100mg | 64mg |
わかめ(乾燥) | 1g | 8mg | 4mg |
ごま | 小さじ1(3g) | 36mg | 11mg |
ピーナッツ | 10粒(6g) | 3mg | 10mg |
バナナ | 1本(100g) | 6mg | 32mg |
ピュアココア | 大さじ1(6g) | 8mg | 26mg |
参考:カルシウム・マグネシウムの摂取量の目安
カルシウムとマグネシウムは日本人に不足している栄養素で1)、特にアスリートの場合はこれらのミネラルは汗で失われてしまう分もあるため、意識してとることが大切です。
子供に必要なカルシウムとマグネシウムの摂取量は、「日本人の食事摂取基準」において年齢別に以下の量が推奨されています。
<カルシウムの推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 600mg | 550mg |
8~9歳 | 650mg | 750mg |
10~11歳 | 700mg | 750mg |
12~14歳 | 1000mg | 800mg |
15~17歳 | 800mg | 650mg |
<マグネシウムの推奨量>
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 130mg | 130mg |
8~9歳 | 170mg | 160mg |
10~11歳 | 210mg | 220mg |
12~14歳 | 290mg | 290mg |
15~17歳 | 360mg | 310mg |
メニュー例
木綿豆腐や油揚げはカルシウム・マグネシウムの多い食材です。乳製品が苦手な場合には積極的にメニューに取り入れることをおすすめします。1食あたりカルシウムは269mg、マグネシウムは89mg含まれています。
また干しエビは100gあたりでは最もカルシウム量の多い食材です。炒め物やおひたしにちょい足ししてみるとよいでしょう。1食あたりカルシウムは238mg、マグネシウムは47mg含まれています。
朝食や間食にはチーズをのせたトーストもおすすめです。タンパク質とカルシウムの両方がとれて、朝の時間に余裕のない子もしっかり栄養がとれます。
ビタミンDの豊富な食品
ビタミンDは魚やきのこを取り入れれば簡単に必要量が摂取できますが、反対に肉類や大豆、乳製品、野菜にはほとんど含まれていないことから、魚もきのこも入っていない食事では不足しやすくなりますので注意しましょう。
<食品中のビタミンD含有量>
食べ物 | 1回量 | ビタミンD |
鮭 | 1切れ(100g) | 33.0μg |
さば | 1切れ(100g) | 5.1μg |
にぼし | 10尾(3g) | 1.6μg |
きくらげ(乾燥) | 3個(1g) | 1.3μg |
しめじ | 1/2パック(50g) | 0.3μg |
えのき | 1/2パック(50g) | 0.5μg |
参考:ビタミンDの摂取量の目安
<ビタミンDの推奨量>
子供に必要なビタミンDの摂取量は、「日本人の食事摂取基準」において年齢別に以下の量が推奨されています。
男子 | 女子 | |
6~7歳 | 4.5μg | 5.0μg |
8~9歳 | 5.0μg | 6.0μg |
10~11歳 | 6.5μg | 8.0μg |
12~14歳 | 8.0μg | 9.5μg |
15~17歳 | 9.0μg | 8.5μg |
ビタミンKの豊富な食品
ビタミンKが多く含まれている食べ物は「豆・大豆製品」と「緑色の野菜や海藻」と覚えておきましょう。
ビタミンKは体の腸内細菌からも作られ、通常の食生活であれば不足することはほとんどないため、食品中の含有量や1日の目安量はここでは省略いたします。
牛乳で身長が伸びるは本当か
「牛乳で身長は伸びるのか?」は多くの方が疑問に思うことですが、実際にはどうなのでしょうか。
カルシウムの摂取と身長、体重、骨密度の関係を調べた論文をまとめたメタ分析では、カルシウムの補給により骨密度への影響はみられたものの、身長には影響しなかったということがわかっています(※2)
しかし牛乳は成長期に必要な栄養を補う上ではとても便利な食品です。
牛乳コップ1杯(200cc)で摂取できるカルシウムは約230mgで、これを他の食品で同じだけとるにはなかなか大変なことが前述の含有量の表を見ても分かるかと思います(豆乳でもコップ1杯で約60mgと、1/4くらいの量です)。
さらに、牛乳や乳製品には骨を伸ばすために必要な、良質なタンパク質と亜鉛も含まれています。
これらを1つの食品で同時にとることができるという点で、牛乳はやはり身長を伸ばすための栄養補給に便利な食品だといえるでしょう。
詳細記事:牛乳で身長は伸びるのか? >
魚の缶詰はスーパー食材
牛乳のほかにおすすめしたい食べ物がイワシ缶やサバ缶といった魚の缶詰です。
シシャモや煮干しのように丸ごと食べられるものはカルシウムを多くとれますが、基本的に魚は骨を除いてしまうと、身だけ食べてもカルシウムはあまり摂取できません。
しかし缶詰のようにじっくり煮込んである場合には骨もやわらかくなっているため、骨ごと食べればカルシウムをたっぷり補給することができます。
良質なタンパク質に加えて亜鉛・カルシウム・マグネシウム・ビタミンDが網羅されている魚の缶詰もまた、身長を伸ばす栄養補給に役立つ食品といえます。
調理の手間もかからないので、朝食やお弁当のおかずにぜひ取り入れてみましょう。
意識したい食事のポイント
ここまで具体的な食べ物の栄養素と摂取量をお伝えしましたが、栄養士でもない限り「何の食品を何グラムで…」と考えることはなかなか難しいと思います。
そこで食事の献立を考える際にはまず以下のポイントを意識してみましょう。
- 主菜のおかず(肉・魚・卵・大豆を使ったおかず)を毎食取り入れる
- 牛乳を1日2~3杯は飲む
- 大豆や大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げ・豆乳)は毎日1品以上とる
- 魚介類と肉類のおかずは同じくらいの割合でとる(肉や卵に偏らせない)
- 副菜のおかず(野菜・海藻を使ったおかず)を毎日5品以上はとる
- きのこ類もおかずの材料にプラスする
一度に全てを完璧にこなそうとするのは大変ですので、ぜひできるところから取り組んでみて下さい。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
身長を伸ばすための食事は突き詰めると「バランスのよいメニュー」ということになるのですが、偏っている部分は人それぞれ違ってきますので、今回の記事でそれをどう補うとよいのかが少しでも参考になれば嬉しいです。
参考文献
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
1) 厚生労働省:令和元年度国民健康・栄養調査
2)独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康・栄養フォーラム」